講演情報
[P-010]高齢マウスにおける頭頂骨規格化骨欠損修復に関する形態学的検討
○猪狩 洋平1、中村 恵2、山口 哲史1、服部 佳功1 (1. 東北大学大学院歯学研究科加齢歯科学分野、2. 東北大学大学院歯学研究科顎口腔組織発生学分野)
【目的】
歯科領域においては,歯周病や抜歯等に際して骨欠損を生じる症例が多く,骨修復は臨床において重要な課題となっている。一般的に,加齢に伴い創傷治癒力は低下すると考えられているが,高齢動物を用いた実験的骨欠損修復に関する基礎的研究報告は少なく,骨修復に与える加齢の影響については未だ解明されていない。そこで本研究では,高齢マウスの頭頂骨に実験的骨欠損を作製し,修復骨について形態学的に検討することを目的とした。
【方法】
実験には生後10週齢及び50週齢のマウスを各6匹使用した。直径2.4mmのトレフィンバーを用いて,マウスの頭頂骨に規格化骨欠損を作製した。骨欠損作製後8週と12週で修復部位を含む頭頂骨を摘出し,4%パラホルムアルデヒドで固定後,マイクロCT撮影を行った。骨欠損修復部位の三次元画像を構築し,修復骨量を計測した。さらに,CT撮影後の試料を脱灰・パラフィン包埋後,組織切片を作製し,ヘマトキシリン・エオジン(HE)染色を施し,修復部位について組織学的に検討した。
【結果と考察】
マイクロCTを用いて修復骨量を定量解析し,若齢と高齢とで統計学的に比較検討したところ,術後8週と12週の両方において有意差は認められなかった。しかし,修復部位の骨の厚さを検討したところ,術後8週と12週のどちらにおいても,高齢で有意に厚くなることが示された。そこで,HE染色標本を用いて組織学的に修復部位の検討を行った。その結果,高齢において,骨欠損作製部位と隣接する既存骨の脳硬膜側に骨の増生が観察された。本研究結果から,若齢と高齢とでは修復骨量に差はないが,高齢において新生骨の局所的肥厚が起こる可能性が示唆された。なぜ修復過程において局所的な骨増生が起こるのかは不明であるが,加齢により,骨芽細胞による骨形成と破骨細胞による骨吸収のバランスが崩れ,破骨細胞による骨吸収が亢進することで骨粗鬆症が引き起こされるように,骨芽細胞による骨形成が亢進することで骨修復時に局所的な骨増生が引き起こされるのかもしれない。
(COI開示:なし)
(東北大学環境・安全委員会動物実験専門委員会承認番号2019歯動-001-08)
歯科領域においては,歯周病や抜歯等に際して骨欠損を生じる症例が多く,骨修復は臨床において重要な課題となっている。一般的に,加齢に伴い創傷治癒力は低下すると考えられているが,高齢動物を用いた実験的骨欠損修復に関する基礎的研究報告は少なく,骨修復に与える加齢の影響については未だ解明されていない。そこで本研究では,高齢マウスの頭頂骨に実験的骨欠損を作製し,修復骨について形態学的に検討することを目的とした。
【方法】
実験には生後10週齢及び50週齢のマウスを各6匹使用した。直径2.4mmのトレフィンバーを用いて,マウスの頭頂骨に規格化骨欠損を作製した。骨欠損作製後8週と12週で修復部位を含む頭頂骨を摘出し,4%パラホルムアルデヒドで固定後,マイクロCT撮影を行った。骨欠損修復部位の三次元画像を構築し,修復骨量を計測した。さらに,CT撮影後の試料を脱灰・パラフィン包埋後,組織切片を作製し,ヘマトキシリン・エオジン(HE)染色を施し,修復部位について組織学的に検討した。
【結果と考察】
マイクロCTを用いて修復骨量を定量解析し,若齢と高齢とで統計学的に比較検討したところ,術後8週と12週の両方において有意差は認められなかった。しかし,修復部位の骨の厚さを検討したところ,術後8週と12週のどちらにおいても,高齢で有意に厚くなることが示された。そこで,HE染色標本を用いて組織学的に修復部位の検討を行った。その結果,高齢において,骨欠損作製部位と隣接する既存骨の脳硬膜側に骨の増生が観察された。本研究結果から,若齢と高齢とでは修復骨量に差はないが,高齢において新生骨の局所的肥厚が起こる可能性が示唆された。なぜ修復過程において局所的な骨増生が起こるのかは不明であるが,加齢により,骨芽細胞による骨形成と破骨細胞による骨吸収のバランスが崩れ,破骨細胞による骨吸収が亢進することで骨粗鬆症が引き起こされるように,骨芽細胞による骨形成が亢進することで骨修復時に局所的な骨増生が引き起こされるのかもしれない。
(COI開示:なし)
(東北大学環境・安全委員会動物実験専門委員会承認番号2019歯動-001-08)