講演情報
[P-012]アプリ併用によるオーラルフレイル予防複合プログラムによる要支援・要介護リスク軽減効果
○松尾 浩一郎1、相田 潤1、日髙 玲奈1、田中 美咲1、三上 理沙子1、小城 明子2、増田 裕次3 (1. 東京科学大学、2. 東京医療保健大学、3. 松本歯科大学)
【目的】
われわれは,高齢者でも扱えるLINEポータルアプリを用いて,オンラインでつながりオンサイトで共に学べるオーラルフレイル(OF)対策プログラムを開発した。本研究では,プログラム参加による要支援・要介護リスク改善効果について検討した。
【方法】
対象は, 2023年の長野県シニア大学の3学部受講の1年生のうち,本研究に同意が得られ,研究前後の調査に参加した者とした。介入として,月に1回「噛みごたえがあり栄養をしっかり取れる“カムカム弁当”を食べながら,口の健康,咀嚼,栄養・食事に関する講話を30分程度聴講するカムカム健康プログラムを5回受講した。ベースライン調査は2023年6月~7月に実施,その後,第2回調査を2023年10月~2024年1月に実施した。介入前後に入力された基本チェックリストスコアから,高齢者の要支援・要介護リスク評価尺度を算出した。要介護リスク評価尺度が初回と比して2回目でどのように変化したか,年齢と性別を共変量として調整し,個人の中に2回の測定回数がネストする線形混合モデルで評価した。解析にはStata18.0を用いた。
【結果と考察】
ベースライン調査には170人,2回目の調査には144人が参加をした。IDや要介護リスク評価尺度に欠損の無い者を除いた後,両方の調査に参加した141人(男性54人)が解析に含められた。年齢は2回目調査のほうが高かったが,要介護リスク評価尺度はほぼ同じだった。線形混合モデルによる分析において,単変量解析では,ベースラインに比べて2回目の尺度がわずかに低かったが,統計学的には有意差はなかった。年齢が1歳高いと尺度が1.02有意に高かった。年齢と性別を調整した結果,ベースラインに比べ2回目の要介護リスク評価尺度が0.53有意に低い結果となった。 要介護リスク評価尺度は,経年歴に悪化しやすい尺度であるが,LINEポータルアプリを活用したOF予防複合プログラムにより要介護リスクの悪化が予防された可能性が示唆された。今後もOF対策のヘルスケアサービスとして社会実装できるように,対照群を設けた検討や,より長期の評価を行っていく予定である。
(COI 開示:なし)
(東京科学大学 歯学系倫理審査委員会承認番号 D2022-001-04)
われわれは,高齢者でも扱えるLINEポータルアプリを用いて,オンラインでつながりオンサイトで共に学べるオーラルフレイル(OF)対策プログラムを開発した。本研究では,プログラム参加による要支援・要介護リスク改善効果について検討した。
【方法】
対象は, 2023年の長野県シニア大学の3学部受講の1年生のうち,本研究に同意が得られ,研究前後の調査に参加した者とした。介入として,月に1回「噛みごたえがあり栄養をしっかり取れる“カムカム弁当”を食べながら,口の健康,咀嚼,栄養・食事に関する講話を30分程度聴講するカムカム健康プログラムを5回受講した。ベースライン調査は2023年6月~7月に実施,その後,第2回調査を2023年10月~2024年1月に実施した。介入前後に入力された基本チェックリストスコアから,高齢者の要支援・要介護リスク評価尺度を算出した。要介護リスク評価尺度が初回と比して2回目でどのように変化したか,年齢と性別を共変量として調整し,個人の中に2回の測定回数がネストする線形混合モデルで評価した。解析にはStata18.0を用いた。
【結果と考察】
ベースライン調査には170人,2回目の調査には144人が参加をした。IDや要介護リスク評価尺度に欠損の無い者を除いた後,両方の調査に参加した141人(男性54人)が解析に含められた。年齢は2回目調査のほうが高かったが,要介護リスク評価尺度はほぼ同じだった。線形混合モデルによる分析において,単変量解析では,ベースラインに比べて2回目の尺度がわずかに低かったが,統計学的には有意差はなかった。年齢が1歳高いと尺度が1.02有意に高かった。年齢と性別を調整した結果,ベースラインに比べ2回目の要介護リスク評価尺度が0.53有意に低い結果となった。 要介護リスク評価尺度は,経年歴に悪化しやすい尺度であるが,LINEポータルアプリを活用したOF予防複合プログラムにより要介護リスクの悪化が予防された可能性が示唆された。今後もOF対策のヘルスケアサービスとして社会実装できるように,対照群を設けた検討や,より長期の評価を行っていく予定である。
(COI 開示:なし)
(東京科学大学 歯学系倫理審査委員会承認番号 D2022-001-04)