講演情報
[P-014]令和6年能登半島地震に被災した輪島市における歯科保健医療支援の経験
○中久木 康一1,2 (1. 東北大学大学院歯学研究科災害・環境歯学研究センター、2. 日本歯科医師会災害対応アドバイザー)
【緒言・目的】 令和6年能登半島地震においては、6市町村に対してJDAT(災害歯科支援チーム)が派遣され、自治体の保健医療福祉調整本部のもとでの支援活動に参画した。輪島市における支援に関し、経験を振り返り考察した。
【症例および経過】 輪島市本庁舎における保健医療調整本部は1月11日より正式に設置され、地元歯科医師らも参画した。門前・町野地区との交通は困難で、両地区とは会議はオンラインで繋ぎつつ活動は分担して運営された。1月17日の石川県歯科医師会からの先遣隊に続いて、他県からのJDATが派遣された。門前には断続的に6チーム25人(1月18日~2月7日)、市街地には1月18日~3月1日は連続、その後は不定期で3月17日まで23チーム84人であった。同時期に、在宅医療チームの歯科も断続的に支援に訪れていた。
当初のJDATの調整は、地元歯科医師らとの連携においてDHEATに協力いただいた。在宅医療チームの歯科支援予定は不定期で、在宅医療チームとともに支援先が決定するため、歯科的応急処置の判断はお任せし、実施後に個別記録を電子的に申し送りいただいた。物資提供や口腔ケアの支援においては、実施場所と対象人数程度の簡易な報告に留めた。1月20日頃より、歯科を含む保健医療チームから地元歯科医師への歯科医療対応に関する引継ぎは専用の用紙にて運用した。他県からのJDATによる巡回は、門前21、市街地52の施設において行われ、うち複数回行われたのはそれぞれ11、19施設であり、最大6回であった。
【考察】 地元歯科医師らは、歯科診療所の被災もあるが遠隔避難の必要性もあり、歯科内での連絡共有にも困難があった。その環境下で、自治体の災害対応における歯科のコーディネートは十分に対応できず、自治体/DHEATとの連携のもとでの活動となった。在宅医療チームの歯科の方々には、新型コロナ感染症対応避難所におけるフルPPEでの口腔ケアを自己完結で行っていただくなど、JDATでは困難な対応もしていただいた。
歯科診療所は、建物の被害が少なかったとしても上下水道の不通期間が長期に渡ると再開が難しい。特に市町村レベルでの地域保健医療介護福祉の連携の中で、災害時の対応を検討しておくことが肝要である。
謝辞:輪島市街地の活動は、角大輔歯科医師、笹谷俊郎歯科医師との連携のもとに実施した。
(COI 開示:なし)(倫理審査対象外)
【症例および経過】 輪島市本庁舎における保健医療調整本部は1月11日より正式に設置され、地元歯科医師らも参画した。門前・町野地区との交通は困難で、両地区とは会議はオンラインで繋ぎつつ活動は分担して運営された。1月17日の石川県歯科医師会からの先遣隊に続いて、他県からのJDATが派遣された。門前には断続的に6チーム25人(1月18日~2月7日)、市街地には1月18日~3月1日は連続、その後は不定期で3月17日まで23チーム84人であった。同時期に、在宅医療チームの歯科も断続的に支援に訪れていた。
当初のJDATの調整は、地元歯科医師らとの連携においてDHEATに協力いただいた。在宅医療チームの歯科支援予定は不定期で、在宅医療チームとともに支援先が決定するため、歯科的応急処置の判断はお任せし、実施後に個別記録を電子的に申し送りいただいた。物資提供や口腔ケアの支援においては、実施場所と対象人数程度の簡易な報告に留めた。1月20日頃より、歯科を含む保健医療チームから地元歯科医師への歯科医療対応に関する引継ぎは専用の用紙にて運用した。他県からのJDATによる巡回は、門前21、市街地52の施設において行われ、うち複数回行われたのはそれぞれ11、19施設であり、最大6回であった。
【考察】 地元歯科医師らは、歯科診療所の被災もあるが遠隔避難の必要性もあり、歯科内での連絡共有にも困難があった。その環境下で、自治体の災害対応における歯科のコーディネートは十分に対応できず、自治体/DHEATとの連携のもとでの活動となった。在宅医療チームの歯科の方々には、新型コロナ感染症対応避難所におけるフルPPEでの口腔ケアを自己完結で行っていただくなど、JDATでは困難な対応もしていただいた。
歯科診療所は、建物の被害が少なかったとしても上下水道の不通期間が長期に渡ると再開が難しい。特に市町村レベルでの地域保健医療介護福祉の連携の中で、災害時の対応を検討しておくことが肝要である。
謝辞:輪島市街地の活動は、角大輔歯科医師、笹谷俊郎歯科医師との連携のもとに実施した。
(COI 開示:なし)(倫理審査対象外)