講演情報
[P-022]訪問診療で口腔健康管理を楽しく継続するための取り組み
○丸山 美穂子1、若杉 葉子1、村田 志乃1、須佐 千明1、伊藤 智子1 (1. 医療法人社団悠翔会 悠翔会在宅クリニック歯科診療部)
【緒言・目的】
訪問診療では,食べる・話すだけでなく“笑う”という口腔の基本的な機能を維持することが歯科衛生士の重要な役割だと考えている。しかし,要介護状態になると人と人との関わりが希薄になり孤独感が大きくなる場面にも遭遇する。患者に寄り添うことを大切に継続して診療させていただくにはどうすればよいか日々考えて実践している。ここにその症例を報告する。
【症例および経過】
82歳女性(主訴は義歯破損)。口腔体操として歌詞カードを用意して一緒に歌うと,家族から童謡が好きという情報を頂いた。童謡の歌詞カードを用意すると2番も作って欲しいと患者自らリクエストがあった。手作りの楽器も持参すると患者も家族も「どうやって作ったの?」と興味を持ってくださり,家族を巻き込んで口腔機能管理ができるようになった。
89歳男性(主訴は前歯が欠けた)。独居。デイサービスは人間関係に気を使い疲れるため中断し人との接触が減り,会話をしても声量は弱く表情も乏しかった。患者が応援している野球チームを知りそのチームのミニ情報を印刷した渡したところ,喜んでくださり会話の幅が広がり自ら自分のことを話してくれるようになった。我々が訪問するのを楽しみにしているという言葉も頂くようになり,帰り際にグータッチをするようになった。
86歳男性(パーキンソン病。歯科治療と嚥下機能評価依頼)。胃瘻で直接訓練中であるが,最近覚醒状態の良い時間が短くなった。もともと仕事好きの方だったため会社のカフェの写真を印刷し持参したところ,眼を大きく見開いて喜んでくださり,覚醒状態の良い時間が延長した。会社のロゴ入りTシャツを着て訪問すると,それまでより長い時間直接訓練を実施できた。我々が退出する際,自ら手を振ってくれるようになった。 なお,本報告の発表について患者本人,代諾者から文書による同意を得ている。
【考察】
患者との関係性の構築と口腔健康管理は一朝一夕でできるものではない。また,可能な限り長く続けることも必要である。好きなことを患者から聞き取ったり少しでも笑顔になってくれる工夫をしたりすることが,患者との関係性構築には必要である。このような小さな工夫を続けて患者の気持ちを引き出せる介入を続けていきたい。
(利益相反なし)
(COI 開示:なし)
訪問診療では,食べる・話すだけでなく“笑う”という口腔の基本的な機能を維持することが歯科衛生士の重要な役割だと考えている。しかし,要介護状態になると人と人との関わりが希薄になり孤独感が大きくなる場面にも遭遇する。患者に寄り添うことを大切に継続して診療させていただくにはどうすればよいか日々考えて実践している。ここにその症例を報告する。
【症例および経過】
82歳女性(主訴は義歯破損)。口腔体操として歌詞カードを用意して一緒に歌うと,家族から童謡が好きという情報を頂いた。童謡の歌詞カードを用意すると2番も作って欲しいと患者自らリクエストがあった。手作りの楽器も持参すると患者も家族も「どうやって作ったの?」と興味を持ってくださり,家族を巻き込んで口腔機能管理ができるようになった。
89歳男性(主訴は前歯が欠けた)。独居。デイサービスは人間関係に気を使い疲れるため中断し人との接触が減り,会話をしても声量は弱く表情も乏しかった。患者が応援している野球チームを知りそのチームのミニ情報を印刷した渡したところ,喜んでくださり会話の幅が広がり自ら自分のことを話してくれるようになった。我々が訪問するのを楽しみにしているという言葉も頂くようになり,帰り際にグータッチをするようになった。
86歳男性(パーキンソン病。歯科治療と嚥下機能評価依頼)。胃瘻で直接訓練中であるが,最近覚醒状態の良い時間が短くなった。もともと仕事好きの方だったため会社のカフェの写真を印刷し持参したところ,眼を大きく見開いて喜んでくださり,覚醒状態の良い時間が延長した。会社のロゴ入りTシャツを着て訪問すると,それまでより長い時間直接訓練を実施できた。我々が退出する際,自ら手を振ってくれるようになった。 なお,本報告の発表について患者本人,代諾者から文書による同意を得ている。
【考察】
患者との関係性の構築と口腔健康管理は一朝一夕でできるものではない。また,可能な限り長く続けることも必要である。好きなことを患者から聞き取ったり少しでも笑顔になってくれる工夫をしたりすることが,患者との関係性構築には必要である。このような小さな工夫を続けて患者の気持ちを引き出せる介入を続けていきたい。
(利益相反なし)
(COI 開示:なし)