講演情報

[P-034]回復期リハビリテーション病棟入院中の高齢患者を対象とした認知症重症度と口腔環境との関連性

○村上 正治1、釘宮 嘉浩1、中野 有生1、守谷 恵未1、佐藤 穂香1、永井 彩絵1、横山 惟子1、田中 誠也2、加賀谷 斉3、中村 純也1 (1. 国立長寿医療研究センター 歯科口腔外科部、2. 国立長寿医療研究センター 先端医療開発推進センター、3. 国立長寿医療研究センター リハビリテーション科部)
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【目的】
 高齢者の健康状態を維持する上で,口腔の諸問題に早期に対応することが重要である。しかし認知機能が低下している場合,口腔内への関心が薄れたり,かかりつけ歯科への通院が途絶えることで口腔環境は悪化する可能性がある。更に急性期疾患を経てリハビリテーションのため回復期病棟へ入院した場合,原疾患治療の過程で中長期的に口腔の問題に関する優先順位が下がることが懸念される。しかし回復期リハビリテーション病棟において認知機能が低下している高齢入院患者における口腔環境の詳細は明らかになっていない。そこで今回我々は回復期リハビリテーション病棟入院中の高齢患者を対象に認知機能と口腔環境との関連性について検討することを目的とした。
【方法】
 2022年6月から2024年3月の間に当院回復期リハビリテーション病棟に入院した高齢患者を対象者とした。年齢,性別,日本語版 Oral Health Assessment Tool(以下OHAT-J)について調査し,入院時のMini Mental State Examination-Japaneseを用いて認知症重症度を分類した。認知症重症度と口腔環境の関連性をみるため,口腔環境(OHAT-J 3点以上:口腔環境不良)を目的変数とし,認知症重症度,年齢,性別,入院疾患分類を説明変数とした二項ロジスティック回帰分析を行った。
【結果と考察】
 本研究の対象者は371名(女性232名,平均年齢81.2±7.2歳)であった。認知症重症度は正常23名,認知症の疑い101名,軽度認知症78名,中等度認知症121名,重度認知症48名であった。また二項ロジスティック回帰分析の結果,正常・認知症の疑いをリファレンスとした時,軽度認知症にてオッズ比1.8(95%Confidence Interval〔以下CI〕1.0-3.3),中等度認知症にて2.2(95%CI 1.3-3.8),重度認知症にて7.0(95%CI 2.9-16.8)であった。以上の結果から回復期リハビリテーション病棟入院中の高齢患者において認知機能が低下している者は,口腔環境が不良であることが示唆された。
(COI 開示:なし)
(国立研究開発法人国立長寿医療研究センター 倫理・利益相反委員会,承認番号1774)