講演情報
[P-038]コロナ禍前後における周術期口腔機能管理算定件数の変化と口腔機能をより考慮した治療への変化について
○白木 優帆1、岡本 美英子2、横井 美有希2、松房 優菜2、坂井 鮎1、田中 紘子1、川田 菜々子1、矢沢 麻生1、吉田 光由1,2 (1. 藤田医科大学病院歯科口腔外科、2. 藤田医科大学医学部歯科口腔外科学講座)
【目的】
周術期口腔機能管理は2020年からの新型コロナウイルス感染症のパンデミックのなか制限がかかったとされているもののその実態はあまり明らかにされていない。さらに,周術期口腔機能管理が感染予防につながることが報告されている一方,口腔衛生管理のみが主体となっていて,術後の口腔機能を見据えた治療となっていないところもある。当科では,全身麻酔下で手術を受ける患者が術前外来を受診した際に歯科衛生士による口腔内評価を実施し,必要に応じて歯科受診を勧めている。今回,コロナ禍前後における周術期口腔機能管理実施者数の変化を明らかにすることで,コロナ禍の影響を明らかにするとともに補綴歯科専門医が教授として赴任されて以降の治療内容の変化について明らかにすることで,術後の口腔機能を見据えた周術期口腔機能管理のあり方について考察してみたい。
【方法】
2019年から2023年の5年間の周術期口腔機能管理患者数の変化を調査した。また,口腔内装置の作成者数,抜歯ならびに義歯の修理・裏装などの義歯治療を実施した患者数の変化についても調査した。
【結果と考察】
周術期口腔機能管理を実施した患者数は2019年には2,508名であり,術前外来受診者の35.2%であった。コロナ禍の2022年には1,734名(21.6%)にまで減少したもののコロナ後の2023年には2,229名(30.3%)にまで回復していた。治療内容をみると2019年には義歯治療を実施した患者は1%にも満たなかったものが2023年には4%となっており,それに合わせて抜歯件数も増加していた。
以上より,新型コロナウイルス感染症といった新興感染症がまん延すると口腔に関する治療は制限を受けることが明らかとなり,このような環境下ではどのような症例に対して優先的に歯科介入をしていくかといったガイドラインを検討していく必要があると思われた。さらに,動揺歯の脱落を防ぐといった口腔内装置による一時的な処置では,術後に動揺歯等による咀嚼障害が改善できない可能性があり,術前に動揺歯を抜歯して義歯による機能回復を図るといった治療の対象となる患者が少なからず存在していることも明らかとなり,このような口腔機能を見据えた介入の効果についても今後検討していければと考えている。
(COI開示:なし)
(藤田医科大学倫理審査委員会承認番号HM22-008)
周術期口腔機能管理は2020年からの新型コロナウイルス感染症のパンデミックのなか制限がかかったとされているもののその実態はあまり明らかにされていない。さらに,周術期口腔機能管理が感染予防につながることが報告されている一方,口腔衛生管理のみが主体となっていて,術後の口腔機能を見据えた治療となっていないところもある。当科では,全身麻酔下で手術を受ける患者が術前外来を受診した際に歯科衛生士による口腔内評価を実施し,必要に応じて歯科受診を勧めている。今回,コロナ禍前後における周術期口腔機能管理実施者数の変化を明らかにすることで,コロナ禍の影響を明らかにするとともに補綴歯科専門医が教授として赴任されて以降の治療内容の変化について明らかにすることで,術後の口腔機能を見据えた周術期口腔機能管理のあり方について考察してみたい。
【方法】
2019年から2023年の5年間の周術期口腔機能管理患者数の変化を調査した。また,口腔内装置の作成者数,抜歯ならびに義歯の修理・裏装などの義歯治療を実施した患者数の変化についても調査した。
【結果と考察】
周術期口腔機能管理を実施した患者数は2019年には2,508名であり,術前外来受診者の35.2%であった。コロナ禍の2022年には1,734名(21.6%)にまで減少したもののコロナ後の2023年には2,229名(30.3%)にまで回復していた。治療内容をみると2019年には義歯治療を実施した患者は1%にも満たなかったものが2023年には4%となっており,それに合わせて抜歯件数も増加していた。
以上より,新型コロナウイルス感染症といった新興感染症がまん延すると口腔に関する治療は制限を受けることが明らかとなり,このような環境下ではどのような症例に対して優先的に歯科介入をしていくかといったガイドラインを検討していく必要があると思われた。さらに,動揺歯の脱落を防ぐといった口腔内装置による一時的な処置では,術後に動揺歯等による咀嚼障害が改善できない可能性があり,術前に動揺歯を抜歯して義歯による機能回復を図るといった治療の対象となる患者が少なからず存在していることも明らかとなり,このような口腔機能を見据えた介入の効果についても今後検討していければと考えている。
(COI開示:なし)
(藤田医科大学倫理審査委員会承認番号HM22-008)