講演情報
[P-094]サルコペニア,フレイルからみた舌圧の管理目安値の検討
○戸澤 聖也1、西 恭宏1、池田 菜緒1、櫻井 智章1、宮田 春香1、大浦 悠梨香1、村上 格2、駒走 尚大1、堀之内 玲耶1、中村 康典3 (1. 鹿児島大学 大学院医歯学総合研究科 口腔顎顔面補綴学分野、2. 鹿児島大学病院 成人系歯科センター 義歯インプラント科、3. 独立行政法人国立病院機構鹿児島医療センター 歯科口腔外科)
【目的】
当科では外来患者における口腔機能低下症の各検査とともにサルコペニアとフレイルの評価を行ってきている。今回,これまでの評価データから口腔機能とサルコペニアならびにフレイルの関連について分析し,サルコペニア・フレイルと関連があった口腔機能検査項目に対してサルコペニアとフレイルの診断に対する目安値を検討した。
【方法】
2020年2月から2024年7月までの当科外来患者で本研究に同意した348名(平均75.6±3.2歳)を対象とした。口腔機能の検査は,口腔機能低下症の代替検査を含めた各種検査を行い,サルコペニアとフレイルは,それぞれAWGS2019,J-CHS基準を基に評価し,サルコペニア,フレイルの診断と各口腔機能項目との関連について検討した。統計は,Kruskal-Wallis test,単変量および多変量の2項ロジスティック解析, ROC解析を行った。
【結果と考察】
サルコペニアならびにフレイルの該当の有無を従属変数とした2項ロジスティック解析においては,各口腔機能検査を独立変数とした単変量解析ではプレスケール値,グルコセンサー値はサルコペニアのみに有意に関連し,舌圧,咀嚼能力スコア,EAT-10,聖隷式嚥下質問は,サルコペニアとフレイルの両方に有意に関連した。これら有意な口腔機能検査項目を独立変数とした多変量解析(性別と年齢を調整)では,サルコペニアとフレイル両者ともに舌圧のみが有意に関連した(p<0.001)。さらに,舌圧に対するサルコペニアならびにフレイルの該当についてのROC解析をから,舌圧の目安値は,それぞれ28.5kPa,26.9kPaであった。
これらのことから,口腔機能の中で舌圧がサルコペニアとフレイルに強く関連することが明らかとなり,サルコペニアとフレイルを予防に対して歯科から舌圧値による示唆を他職種に示せる可能性があると考えられる。また,口腔機能低下症の舌圧基準値30kPaは,サルコペニアとフレイルの発症の点から見ると高めではあるものの予防の観点からは妥当な基準値ではないかと考えられた。
(COI 開示:なし)
(鹿児島大学疫学研究等倫理委員会190165疫)
当科では外来患者における口腔機能低下症の各検査とともにサルコペニアとフレイルの評価を行ってきている。今回,これまでの評価データから口腔機能とサルコペニアならびにフレイルの関連について分析し,サルコペニア・フレイルと関連があった口腔機能検査項目に対してサルコペニアとフレイルの診断に対する目安値を検討した。
【方法】
2020年2月から2024年7月までの当科外来患者で本研究に同意した348名(平均75.6±3.2歳)を対象とした。口腔機能の検査は,口腔機能低下症の代替検査を含めた各種検査を行い,サルコペニアとフレイルは,それぞれAWGS2019,J-CHS基準を基に評価し,サルコペニア,フレイルの診断と各口腔機能項目との関連について検討した。統計は,Kruskal-Wallis test,単変量および多変量の2項ロジスティック解析, ROC解析を行った。
【結果と考察】
サルコペニアならびにフレイルの該当の有無を従属変数とした2項ロジスティック解析においては,各口腔機能検査を独立変数とした単変量解析ではプレスケール値,グルコセンサー値はサルコペニアのみに有意に関連し,舌圧,咀嚼能力スコア,EAT-10,聖隷式嚥下質問は,サルコペニアとフレイルの両方に有意に関連した。これら有意な口腔機能検査項目を独立変数とした多変量解析(性別と年齢を調整)では,サルコペニアとフレイル両者ともに舌圧のみが有意に関連した(p<0.001)。さらに,舌圧に対するサルコペニアならびにフレイルの該当についてのROC解析をから,舌圧の目安値は,それぞれ28.5kPa,26.9kPaであった。
これらのことから,口腔機能の中で舌圧がサルコペニアとフレイルに強く関連することが明らかとなり,サルコペニアとフレイルを予防に対して歯科から舌圧値による示唆を他職種に示せる可能性があると考えられる。また,口腔機能低下症の舌圧基準値30kPaは,サルコペニアとフレイルの発症の点から見ると高めではあるものの予防の観点からは妥当な基準値ではないかと考えられた。
(COI 開示:なし)
(鹿児島大学疫学研究等倫理委員会190165疫)