講演情報
[P-104]65歳以上の自立女性に対する食事指導と運動指導を含む6か月間の口腔機能管理の筋肉量への効果
○太田 緑1、大沢 由茉2、上田 貴之1 (1. 東京歯科大学老年歯科補綴学講座、2. 東京歯科大学水道橋病院歯科衛生士部)
【目的】
口腔機能低下症の管理においては,栄養状態も含めて全身状態を把握することが推奨されている。栄養状態の悪化は,サルコペニアといった筋肉量の低下を引き起こす。本研究の目的は,65歳以上の自立女性を対象に,口腔機能検査および筋肉量の評価を行い,食事指導と運動指導を含む6か月間の口腔機能管理が口腔機能と全身の筋肉量に与える影響を検討することとした。
【方法】
東京歯科大学水道橋病院補綴科で口腔機能低下症の検査を実施した65歳以上の女性20名(平均年齢77±5歳)を対象とした。口腔機能精密検査(舌背上総微生物数,口腔水分量,咬合力,オーラルディアドコキネシス,舌圧,咀嚼能率,嚥下機能)に加えて,BIA法による体組成計(InBody S10)にて除脂肪量(kg)および四肢骨格筋量(kg)を測定し,除脂肪指数(FFMI)と骨格筋指数(SMI)を算出した。初回検査時と3か月後に食事指導と運動指導を含む口腔機能訓練の指導を行った。初回検査時と6か月後をWilcoxonの符号付順位検定を用いて比較した(α=0.05)。
【結果と考察】
初回検査時,FFMIの基準値である15を下回る者は5名(25%)だった。また,サルコペニア診断時のSMIの基準値である5.7を下回る者は2名(10%)だった。咬合力(N)の中央値(四分位範囲)は,初回検査時414.4(248.2-464.3)が,6か月後に472.0(363.0-528.3)Nとなり,両群間に有意差を認めた。他の口腔機能では有意差を認めなかった。筋肉量の指標では,FFMI(kg/m2)は16.0(14.9-16.6)が16.0(15.1-16.6)に, SMI(kg/m2)は7.0(6.4-7.6)が7.2(6.3-7.5)となり,FFMIでのみ両群間に有意差を認めた。高齢になると筋繊維数の低下や筋繊維の委縮により筋肉量を増やすことが難しくなるが,本研究の結果から食事指導と簡単な運動指導を含めた6か月間の口腔機能管理により,高齢者のFFMIが増加することが明らかとなった。
(JSPS科研費JP21K17073)
(COI開示:なし)
(東京歯科大学倫理審査委員会承認1069)
口腔機能低下症の管理においては,栄養状態も含めて全身状態を把握することが推奨されている。栄養状態の悪化は,サルコペニアといった筋肉量の低下を引き起こす。本研究の目的は,65歳以上の自立女性を対象に,口腔機能検査および筋肉量の評価を行い,食事指導と運動指導を含む6か月間の口腔機能管理が口腔機能と全身の筋肉量に与える影響を検討することとした。
【方法】
東京歯科大学水道橋病院補綴科で口腔機能低下症の検査を実施した65歳以上の女性20名(平均年齢77±5歳)を対象とした。口腔機能精密検査(舌背上総微生物数,口腔水分量,咬合力,オーラルディアドコキネシス,舌圧,咀嚼能率,嚥下機能)に加えて,BIA法による体組成計(InBody S10)にて除脂肪量(kg)および四肢骨格筋量(kg)を測定し,除脂肪指数(FFMI)と骨格筋指数(SMI)を算出した。初回検査時と3か月後に食事指導と運動指導を含む口腔機能訓練の指導を行った。初回検査時と6か月後をWilcoxonの符号付順位検定を用いて比較した(α=0.05)。
【結果と考察】
初回検査時,FFMIの基準値である15を下回る者は5名(25%)だった。また,サルコペニア診断時のSMIの基準値である5.7を下回る者は2名(10%)だった。咬合力(N)の中央値(四分位範囲)は,初回検査時414.4(248.2-464.3)が,6か月後に472.0(363.0-528.3)Nとなり,両群間に有意差を認めた。他の口腔機能では有意差を認めなかった。筋肉量の指標では,FFMI(kg/m2)は16.0(14.9-16.6)が16.0(15.1-16.6)に, SMI(kg/m2)は7.0(6.4-7.6)が7.2(6.3-7.5)となり,FFMIでのみ両群間に有意差を認めた。高齢になると筋繊維数の低下や筋繊維の委縮により筋肉量を増やすことが難しくなるが,本研究の結果から食事指導と簡単な運動指導を含めた6か月間の口腔機能管理により,高齢者のFFMIが増加することが明らかとなった。
(JSPS科研費JP21K17073)
(COI開示:なし)
(東京歯科大学倫理審査委員会承認1069)