講演情報
[P-110]地域住民のオーラルフレイル認知度向上に関連する啓発手段の検討:神奈川県平塚市での地域啓発の取組より
○池田 健太郎1、田子森 順子2,1、佐藤 麻美2,3、溝口 奈菜1、楠本 奈央1、永谷 美幸1、前田 真理子1、田中 友規2,4、飯島 勝矢2,4 (1. サンスター株式会社、2. 東京大学 高齢社会総合研究機構、3. 神奈川県平塚市役所、4. 東京大学 未来ビジョン研究センター)
【目的】
オーラルフレイル(以下,OF)は,生活者自身が早期に気づき,早期に予防することが重要である。本研究の目的は,特定地域へのOF予防啓発において,地域住民のOF認知度の向上と関連する啓発手段を明らかにすることである。
【方法】
2023年2~9月に神奈川県平塚市の特定地域においてOF予防啓発介入試験を実施した。地域住民の生活圏において多面的にOF関連情報への接触機会を増やす取組として,産官学民協働でフレイル予防講座,歯科医師によるセミナー,地域行事での展示,歯科医院等医療機関・公共施設・商業施設でのポスター掲示・リーフレット配布等を実施した。
平塚市在住65歳以上自立高齢者のうち,啓発前後の自記式質問票調査への回答者を対象に,OFの認知度及びOFの理解や予防意識の高さ,OF関連情報への接触場所・数を評価した。解析では,特定地域とその近隣地域を併せて啓発地域とし,主に性別と年齢を調整因子としたロジスティク回帰分析を用いた。なお,有意確率は5%未満をもって有意とした。
【結果と考察】
啓発地域(891名:74.6±6.5歳,女性52.5%)と非啓発地域(864名:75.5±6.5歳,女性59.9%)を比較したところ,啓発後のOF認知者が啓発地域で有意に多かった(オッズ比[95%CI]=1.32 [1.02-1.70])。また啓発期間中にOFを初めて認知した者(以下,新規認知者)215名において,啓発後のOFの理解や予防意識が高い者は,理解が低い者と比較して啓発期間中の情報接触場所の数が有意に多かった。啓発地域の新規認知者においては,情報接触場所に歯科医院を挙げた者が30.5%で最も多く,次に配付された冊子・サンプルや市の広報等が続いた。特に非啓発地域との比較では歯科医院で情報に触れた者が啓発地域で有意に多かった(オッズ比[95%CI]=2.56 [1.21-5.42])。
本結果より,多面的な手段による複数回の情報接触が地域住民のOF認知度や理解の向上に寄与し,特にOFの地域啓発では地域の歯科医院が重要な役割を果たすと考えられた。今回のような産官学民協働での多面的なOFの予防啓発活動は,OFの認知向上だけでなく地域住民のOF予防にも繋がる活動になるものと期待される。
(COI 開示:サンスター株式会社,他1社)
(東京大学 倫理審査委員会承認番号 22-443)
オーラルフレイル(以下,OF)は,生活者自身が早期に気づき,早期に予防することが重要である。本研究の目的は,特定地域へのOF予防啓発において,地域住民のOF認知度の向上と関連する啓発手段を明らかにすることである。
【方法】
2023年2~9月に神奈川県平塚市の特定地域においてOF予防啓発介入試験を実施した。地域住民の生活圏において多面的にOF関連情報への接触機会を増やす取組として,産官学民協働でフレイル予防講座,歯科医師によるセミナー,地域行事での展示,歯科医院等医療機関・公共施設・商業施設でのポスター掲示・リーフレット配布等を実施した。
平塚市在住65歳以上自立高齢者のうち,啓発前後の自記式質問票調査への回答者を対象に,OFの認知度及びOFの理解や予防意識の高さ,OF関連情報への接触場所・数を評価した。解析では,特定地域とその近隣地域を併せて啓発地域とし,主に性別と年齢を調整因子としたロジスティク回帰分析を用いた。なお,有意確率は5%未満をもって有意とした。
【結果と考察】
啓発地域(891名:74.6±6.5歳,女性52.5%)と非啓発地域(864名:75.5±6.5歳,女性59.9%)を比較したところ,啓発後のOF認知者が啓発地域で有意に多かった(オッズ比[95%CI]=1.32 [1.02-1.70])。また啓発期間中にOFを初めて認知した者(以下,新規認知者)215名において,啓発後のOFの理解や予防意識が高い者は,理解が低い者と比較して啓発期間中の情報接触場所の数が有意に多かった。啓発地域の新規認知者においては,情報接触場所に歯科医院を挙げた者が30.5%で最も多く,次に配付された冊子・サンプルや市の広報等が続いた。特に非啓発地域との比較では歯科医院で情報に触れた者が啓発地域で有意に多かった(オッズ比[95%CI]=2.56 [1.21-5.42])。
本結果より,多面的な手段による複数回の情報接触が地域住民のOF認知度や理解の向上に寄与し,特にOFの地域啓発では地域の歯科医院が重要な役割を果たすと考えられた。今回のような産官学民協働での多面的なOFの予防啓発活動は,OFの認知向上だけでなく地域住民のOF予防にも繋がる活動になるものと期待される。
(COI 開示:サンスター株式会社,他1社)
(東京大学 倫理審査委員会承認番号 22-443)