講演情報
[BS2]栄養ケアの全体像とGLIM基準低栄養診断の価値
○前田 圭介1 (1. 愛知医科大学栄養治療支援センター 特任教授)
【略歴】
1998年 熊本大学医学部医学科 卒業
2017年 愛知医科大学 講師
愛知医科大学病院 緩和ケアセンター/栄養治療支援センター
愛知医科大学大学院医学研究科 緩和・支持医療学
2019年 愛知医科大学 准教授
2020年 国立長寿医療研究センター老年内科 医長
愛知医科大学 客員教授
2023年 愛知医科大学 特任教授
愛知医科大学病院 栄養治療支援センター
[研究者情報] https://researchmap.jp/kskm/
1998年 熊本大学医学部医学科 卒業
2017年 愛知医科大学 講師
愛知医科大学病院 緩和ケアセンター/栄養治療支援センター
愛知医科大学大学院医学研究科 緩和・支持医療学
2019年 愛知医科大学 准教授
2020年 国立長寿医療研究センター老年内科 医長
愛知医科大学 客員教授
2023年 愛知医科大学 特任教授
愛知医科大学病院 栄養治療支援センター
[研究者情報] https://researchmap.jp/kskm/
栄養ケアは高齢者の健康管理において極めて重要な要素であり、低栄養の早期発見と介入は患者の予後改善や生活の質(QOL)向上に直結する。栄養ケアプロセス(Nutrition Care Process; NCP)はすでに体系化され、①栄養スクリーニングとアセスメント、②栄養診断、③栄養介入の計画と実施、④モニタリングと評価という4段階から構成される。この体系的な手法により、患者個々の栄養状態を把握し、多職種連携を通じて効果的な栄養ケアの実施が可能となった。しかし、栄養ケアプロセスが十分に本邦で実施されているとはいいがたい。
低栄養の診断基準として国際的に標準化されたGLIM(Global Leadership Initiative on Malnutrition)基準が登場した。GLIM基準では、まず妥当なスクリーニングツールを用いて栄養リスクを評価し、その後、表現型基準(体重減少、低BMI、筋肉量減少)と病因基準(食事摂取量低下または吸収障害、炎症や疾患負荷)を組み合わせ、低栄養を診断する。表現型と病因のそれぞれから1項目以上該当することで診断され、さらに症状の程度に応じて重症度分類が可能である。
GLIM基準の導入は臨床現場において大きな価値をもたらす。特に高齢者や慢性疾患患者に対しては、早期に低栄養を発見し、迅速かつ適切な栄養介入が行えることで、治療効果の向上が期待される。また、国際的な基準の統一は、多職種間の情報共有や連携の促進に役立ち、栄養ケアの質を高める。共通基準を用いることで、研究成果の比較や教育プログラムの標準化も可能となり、栄養学研究および臨床教育の発展にも寄与する。
体系化された栄養ケアプロセスとGLIM基準の統合的運用は、医療・介護分野における栄養管理の質的向上に大きく貢献する可能性を秘めている。具体的には、NCPの栄養スクリーニング・診断段階でGLIM基準を組み込むことで、リスク患者を効率的に特定し、適切な介入を迅速に展開できる。統合的な栄養ケアアプローチを推進することは、高齢者の健康維持や医療資源の効率的運用、さらには医療経済的側面からも重要な意義を持つだろう。
低栄養の診断基準として国際的に標準化されたGLIM(Global Leadership Initiative on Malnutrition)基準が登場した。GLIM基準では、まず妥当なスクリーニングツールを用いて栄養リスクを評価し、その後、表現型基準(体重減少、低BMI、筋肉量減少)と病因基準(食事摂取量低下または吸収障害、炎症や疾患負荷)を組み合わせ、低栄養を診断する。表現型と病因のそれぞれから1項目以上該当することで診断され、さらに症状の程度に応じて重症度分類が可能である。
GLIM基準の導入は臨床現場において大きな価値をもたらす。特に高齢者や慢性疾患患者に対しては、早期に低栄養を発見し、迅速かつ適切な栄養介入が行えることで、治療効果の向上が期待される。また、国際的な基準の統一は、多職種間の情報共有や連携の促進に役立ち、栄養ケアの質を高める。共通基準を用いることで、研究成果の比較や教育プログラムの標準化も可能となり、栄養学研究および臨床教育の発展にも寄与する。
体系化された栄養ケアプロセスとGLIM基準の統合的運用は、医療・介護分野における栄養管理の質的向上に大きく貢献する可能性を秘めている。具体的には、NCPの栄養スクリーニング・診断段階でGLIM基準を組み込むことで、リスク患者を効率的に特定し、適切な介入を迅速に展開できる。統合的な栄養ケアアプローチを推進することは、高齢者の健康維持や医療資源の効率的運用、さらには医療経済的側面からも重要な意義を持つだろう。