講演情報

[BS3]高齢者の口腔粘膜疾患の再確認

○片倉 朗1 (1. 東京歯科大学 口腔病態外科学講座)
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【略歴】
1985年 東京歯科大学卒業
1991年 東京歯科大学大学院修了(歯学博士)
2003年~2004年 UCLA Comprehensive Cancer Center, 歯学部口腔外科, 医学部頭頸部外科に留学
2011年4月 東京歯科大学 オーラルメディシン・口腔外科学講座 教授
2015年4月 東京歯科大学 口腔病態外科学講座 教授
2019年6月 東京歯科大学水道橋病院 病院長
2022年6月 東京歯科大学 副学長、千葉歯科医療センター長
2025年6月 東京歯科大学 学長
(NPO)日本口腔科学会 理事長・認定医・指導医
(公)日本口腔外科学会 理事・専門医・指導医
(公)日本老年歯科医学会 副理事長・専門医・指導医 他
口腔は角化細胞によって構成される重層扁平上皮によって被われていています。基底細胞層で分化した角化細胞は約14日間かけて成熟し角化層に達して剥離して消失する新陳代謝を繰り返しています。口腔粘膜は上皮内での細胞性免疫と唾液中の分泌型IgAによって細菌などに対する免疫防御が行われています。しかし、口腔も加齢変化よって上記の細胞の新陳代謝と免疫機構の低下を来し様々な疾患が発生しやすくなります。さらに要介護状態では、口腔の乾燥とそれに伴う口腔細菌叢の変化による日和見感染、免疫機能の低下による口腔癌を含めた口腔粘膜疾患、服用薬剤の影響による粘膜や顎骨の病的変化などが発症しやすくなります。口腔粘膜の疾患の重症化は直接的に経口摂取量と嚥下機能の低下をもたらします。特に口腔癌は治療できたとしても口腔機能の低下は否めません。今回は高齢者の口腔粘膜と顎骨に発生しやすい疾患と病態、それらに対する日常の診療での初期対応について、歯科医師や歯科衛生士の方はもちろん、看護師や介護職の方にも分かりやすく解説いたします。
1. 口腔粘膜の感染症
2. 口腔乾燥症とそれに関連する口腔粘膜疾患
3. 口腔潜在的悪 性疾患(OPMDs)と口腔癌
4. 薬剤に関連する口腔粘膜と顎骨の疾患