講演情報
[BS5]口腔機能低下の各レベル別の口腔機能管理
○松尾 浩一郎1 (1. 東京科学大学大学院医歯学総合研究科 生命理工医療科学専攻 口腔保健学口座 地域・福祉口腔機能管理学分野 教授)
【略歴】
1999年 東京医科歯科大学歯学部 卒業
1999年 同 大学院 高齢者歯科学分野 専攻
2002年 ジョンズホプキンス大学 医学部 リハビリテーション講座 研究員
2005年 ジョンズホプキンス大学 医学部 リハビリテーション講座 講師
2008年 松本歯科大学 障害者歯科学講座 准教授
2013年 藤田保健衛生大学 医学部 歯科 教授
2018年 藤田医科大学 医学部 歯科・口腔外科学講座 主任教授
2021年 東京医科歯科大学大学院地域・福祉口腔機能管理学分野 教授(~現在)
2022年 東京医科歯科大学病院 オーラルヘルスセンター センター長(~現在)
2024年 名称が東京科学大学に変更
Adjunct Assistant Professor, Johns Hopkins University
愛知学院大学,九州大学,大阪大学 非常勤講師
1999年 東京医科歯科大学歯学部 卒業
1999年 同 大学院 高齢者歯科学分野 専攻
2002年 ジョンズホプキンス大学 医学部 リハビリテーション講座 研究員
2005年 ジョンズホプキンス大学 医学部 リハビリテーション講座 講師
2008年 松本歯科大学 障害者歯科学講座 准教授
2013年 藤田保健衛生大学 医学部 歯科 教授
2018年 藤田医科大学 医学部 歯科・口腔外科学講座 主任教授
2021年 東京医科歯科大学大学院地域・福祉口腔機能管理学分野 教授(~現在)
2022年 東京医科歯科大学病院 オーラルヘルスセンター センター長(~現在)
2024年 名称が東京科学大学に変更
Adjunct Assistant Professor, Johns Hopkins University
愛知学院大学,九州大学,大阪大学 非常勤講師
近年、日本を中心とした多くの観察研究により、高齢期における口腔機能の低下が栄養障害やフレイルの一因であることが明らかにされてきた。口腔機能は老化とともに低下するが、そこに疾患が加わることで機能低下が著明となり、咀嚼嚥下機能が障害される。本講演では、具体的な訓練方法を含め、オーラルフレイル、口腔機能低下症、口腔機能障害を有する患者への口腔機能管理について、機能低下のレベル別に概説する。
まず、いわゆる口腔機能の些細な衰えであるオーラルフレイルに対しては、動機づけが重要である。口腔機能が低下することで将来的にどのような弊害が生じるのかを患者自身が理解し、自分ごととして捉えることが必要である。オーラルフレイル予防が口腔内の健康維持にとどまらず、食事摂取を介してフレイル予防にまでつながることを理解し、日常生活の中で予防に取り組むよう指導することが求められる。口腔機能維持のためには、噛むことや話すことなど日常的な心がけや、定期的な歯科受診による口腔健康の維持が必要であり、それをいかに分かりやすく説明するかが重要なポイントとなる。
次に、口腔機能低下症への対応では、検査で得られた数値化されたデータの活用が有用である。経時的なフォローを通じて数値の変化をフィードバックすることで、自身の口腔機能がどの程度維持されているのかを患者が理解できるようになる。口腔機能低下症の各項目に対する具体的なアプローチについては講演時に詳述する予定であるが、まずは患者に意識化を促すことで、日常的に噛むことや口腔健康、栄養に関心を持つようなアドヒアランスの向上が期待される。また、口腔健康の維持とともに、栄養バランスやタンパク質摂取に配慮した食事指導も重要である。口腔健康が食生活や健康寿命の延伸にどのように寄与するかを患者に理解してもらうことで、継続的な取り組みが促進される。
最後に、口腔機能障害、特に咀嚼嚥下障害を有する患者には、外来よりも歯科訪問診療で対応する機会が多いと考えられる。対応にあたっては、まず咀嚼嚥下障害の原因となる基礎疾患の有無を把握することが重要である。どのような病態によって咀嚼嚥下機能が低下または障害されているのかを評価し、口腔機能が疾患ベースで障害されているのか、あるいは義歯の不適合などの口腔内の問題によるものなのかを明確にした上で、適切な対応法を検討する必要がある。また、咀嚼嚥下障害に対する機能訓練を行う際には、リハビリテーションの指示・指導が可能であることが前提条件となる。指示理解が困難な場合には、随意的な運動よりも食事形態や姿勢調整などの代償的な対応が求められる。一方で、指示理解が可能で機能訓練が実施できる場合には、介助者への指導も含めた訓練指導を行うことが重要である。
まず、いわゆる口腔機能の些細な衰えであるオーラルフレイルに対しては、動機づけが重要である。口腔機能が低下することで将来的にどのような弊害が生じるのかを患者自身が理解し、自分ごととして捉えることが必要である。オーラルフレイル予防が口腔内の健康維持にとどまらず、食事摂取を介してフレイル予防にまでつながることを理解し、日常生活の中で予防に取り組むよう指導することが求められる。口腔機能維持のためには、噛むことや話すことなど日常的な心がけや、定期的な歯科受診による口腔健康の維持が必要であり、それをいかに分かりやすく説明するかが重要なポイントとなる。
次に、口腔機能低下症への対応では、検査で得られた数値化されたデータの活用が有用である。経時的なフォローを通じて数値の変化をフィードバックすることで、自身の口腔機能がどの程度維持されているのかを患者が理解できるようになる。口腔機能低下症の各項目に対する具体的なアプローチについては講演時に詳述する予定であるが、まずは患者に意識化を促すことで、日常的に噛むことや口腔健康、栄養に関心を持つようなアドヒアランスの向上が期待される。また、口腔健康の維持とともに、栄養バランスやタンパク質摂取に配慮した食事指導も重要である。口腔健康が食生活や健康寿命の延伸にどのように寄与するかを患者に理解してもらうことで、継続的な取り組みが促進される。
最後に、口腔機能障害、特に咀嚼嚥下障害を有する患者には、外来よりも歯科訪問診療で対応する機会が多いと考えられる。対応にあたっては、まず咀嚼嚥下障害の原因となる基礎疾患の有無を把握することが重要である。どのような病態によって咀嚼嚥下機能が低下または障害されているのかを評価し、口腔機能が疾患ベースで障害されているのか、あるいは義歯の不適合などの口腔内の問題によるものなのかを明確にした上で、適切な対応法を検討する必要がある。また、咀嚼嚥下障害に対する機能訓練を行う際には、リハビリテーションの指示・指導が可能であることが前提条件となる。指示理解が困難な場合には、随意的な運動よりも食事形態や姿勢調整などの代償的な対応が求められる。一方で、指示理解が可能で機能訓練が実施できる場合には、介助者への指導も含めた訓練指導を行うことが重要である。