講演情報
[認定P-15]認知症と硬膜下血腫による摂食嚥下障害に対し、多職種連携で摂食嚥下リハビリテーションを行った症例
○小林 香那子1、古屋 純一1 (1. 昭和医科大学歯学部口腔機能管理学講座 口腔機能管理学部門)
【緒言・目的】
高齢者の認知症で最も多いアルツハイマー型認知症は、認知機能の低下に伴い、転倒が多く、それを契機に寝たきりになることも少なくない。今回、転倒に伴う硬膜下血腫によって摂食嚥下障害を発症したアルツハイマー型認知症を有する高齢者に対して、家族を含めた多職種連携により、経口摂取支援を行った症例を報告する。
【症例および経過】
94歳女性。アルツハイマー型認知症で独居生活。自宅で転倒し、硬膜下血腫による高次脳機能障害のため摂食嚥下障害を発症し、入院中胃瘻造設となった。退院後、家族から経口摂取再開の強い希望があり、歯科訪問診療開始。初診時の全身状態はJCS3、寝たきり状態。口腔の過緊張を認め、VEにて評価後、直接訓練を歯科で開始し、訪問看護師には口腔マッサージを依頼した。その後、後天性てんかんにより入院し、退院後は服薬の影響もありJSC20に低下。直接訓練を中止し、間接訓練を継続した。口腔周囲筋の過緊張のよるトラブルが絶えず処置、口腔管理を継続した。医師・ケアマネジャーとの連携で服薬調整を行ったところ、JCS3まで向上。適宜VEにて評価し、直接訓練を訪問看護師と再開。家族にも摂食方法の指導を行い、多職種と家族による段階的摂食訓練を行った。現在、摂食時に自発的に開口し、ゼリー、プリン等の摂食が可能となった。直接訓練を家族が行うことで、家族の満足感も得られた。引き続き、摂食嚥下リハビリテーションと口腔健康管理を継続し、経口摂取支援を行っていく。なお,本報告の発表について患者のご家族から文書による同意を得ている。
【考察】
認知症と硬膜下血腫による禁食状態から介入し、お楽しみ程度摂食可能となった。意思疎通困難であり、てんかん発症後は意識レベルの低下や口腔周囲筋の過緊張も認めたため、間接訓練と口腔管理に留まっていた。意識レベルの低下は抗てんかん薬による可能性が高いと推察したため、医師やケアマネジャーとの相談により服薬調整を行ったところ、嚥下反射が残存していることが再度確認でき、段階的摂食訓練を再開できた。訪問看護からは、蜂蜜を用いた口腔マッサージの提案を受け、それを間接訓練として継続してもらうことで、多職種での関わりを継続できた。さらに、家族が直接訓練を受け持つことで、主訴の解決に結び、経口摂取量増加にも繋がったと考えられた。( COI 開示:なし) (倫理審査対象外)
高齢者の認知症で最も多いアルツハイマー型認知症は、認知機能の低下に伴い、転倒が多く、それを契機に寝たきりになることも少なくない。今回、転倒に伴う硬膜下血腫によって摂食嚥下障害を発症したアルツハイマー型認知症を有する高齢者に対して、家族を含めた多職種連携により、経口摂取支援を行った症例を報告する。
【症例および経過】
94歳女性。アルツハイマー型認知症で独居生活。自宅で転倒し、硬膜下血腫による高次脳機能障害のため摂食嚥下障害を発症し、入院中胃瘻造設となった。退院後、家族から経口摂取再開の強い希望があり、歯科訪問診療開始。初診時の全身状態はJCS3、寝たきり状態。口腔の過緊張を認め、VEにて評価後、直接訓練を歯科で開始し、訪問看護師には口腔マッサージを依頼した。その後、後天性てんかんにより入院し、退院後は服薬の影響もありJSC20に低下。直接訓練を中止し、間接訓練を継続した。口腔周囲筋の過緊張のよるトラブルが絶えず処置、口腔管理を継続した。医師・ケアマネジャーとの連携で服薬調整を行ったところ、JCS3まで向上。適宜VEにて評価し、直接訓練を訪問看護師と再開。家族にも摂食方法の指導を行い、多職種と家族による段階的摂食訓練を行った。現在、摂食時に自発的に開口し、ゼリー、プリン等の摂食が可能となった。直接訓練を家族が行うことで、家族の満足感も得られた。引き続き、摂食嚥下リハビリテーションと口腔健康管理を継続し、経口摂取支援を行っていく。なお,本報告の発表について患者のご家族から文書による同意を得ている。
【考察】
認知症と硬膜下血腫による禁食状態から介入し、お楽しみ程度摂食可能となった。意思疎通困難であり、てんかん発症後は意識レベルの低下や口腔周囲筋の過緊張も認めたため、間接訓練と口腔管理に留まっていた。意識レベルの低下は抗てんかん薬による可能性が高いと推察したため、医師やケアマネジャーとの相談により服薬調整を行ったところ、嚥下反射が残存していることが再度確認でき、段階的摂食訓練を再開できた。訪問看護からは、蜂蜜を用いた口腔マッサージの提案を受け、それを間接訓練として継続してもらうことで、多職種での関わりを継続できた。さらに、家族が直接訓練を受け持つことで、主訴の解決に結び、経口摂取量増加にも繋がったと考えられた。( COI 開示:なし) (倫理審査対象外)