講演情報
[認定P-17]脳卒中後の嚥下障害に対する内視鏡検査を用いた食上げの試み
○井上 高暢1、櫻井 薫1 (1. こばやし歯科クリニック)
★〔症例報告〕の発表
【緒言・目的】
脳卒中後の嚥下障害において,嚥下内視鏡検査(VE)は安全な経口摂取の可否を判断する上で有用とされている。しかし,発声が困難な症例では湿性嗄声の確認が難しく,嚥下安全性の評価が容易ではない。本症例は,心原性脳塞栓症を発症し,失語症状に近い発声困難を呈した患者に対してVE評価を行い,リハビリテーションの継続により形のある食物(パン)の経口摂取を可能とした経過を報告する。
【症例および経過】
74歳,女性。診断名は心原性脳塞栓症で,右片麻痺と発声困難を呈した。主訴は「形のあるものを食べたい」。8月時点のVEでは咽頭残留を認めなかったが,咽頭閉鎖困難がみられたため,一時は食上げを見送る方針となった。しかし,シャキアエクササイズなど舌骨上筋群のリハビリを継続することで機能向上が確認され,施設スタッフとの認識差も解消されて安全な嚥下が可能と判断。実際に一口大のパンを試食し,誤嚥や嗄声を認めなかった。発声が困難でコミュニケーションには工夫を要したが,丁寧な対話を重ね,患者の意欲を高めながら安全に食上げを行うことができた。
【考察】
本症例では,脳卒中後の発声困難例でもVEを用いて咽頭期の観察を行い,嚥下の安全性を評価できた点が重要であった。特に,湿性嗄声の確認が難しい場合でも咽頭残留や誤嚥リスクを客観的に判断し,多職種連携のもとで舌骨上筋群の訓練を継続することで経口摂取を再開できた。本報告は,発声困難例に対しても適切な嚥下評価とリハビリを行う意義を示唆するものと考える。 (COI 開示:なし)
(倫理審査対象外)
(本報告は患者本人の同意を文書で取得済み)
【緒言・目的】
脳卒中後の嚥下障害において,嚥下内視鏡検査(VE)は安全な経口摂取の可否を判断する上で有用とされている。しかし,発声が困難な症例では湿性嗄声の確認が難しく,嚥下安全性の評価が容易ではない。本症例は,心原性脳塞栓症を発症し,失語症状に近い発声困難を呈した患者に対してVE評価を行い,リハビリテーションの継続により形のある食物(パン)の経口摂取を可能とした経過を報告する。
【症例および経過】
74歳,女性。診断名は心原性脳塞栓症で,右片麻痺と発声困難を呈した。主訴は「形のあるものを食べたい」。8月時点のVEでは咽頭残留を認めなかったが,咽頭閉鎖困難がみられたため,一時は食上げを見送る方針となった。しかし,シャキアエクササイズなど舌骨上筋群のリハビリを継続することで機能向上が確認され,施設スタッフとの認識差も解消されて安全な嚥下が可能と判断。実際に一口大のパンを試食し,誤嚥や嗄声を認めなかった。発声が困難でコミュニケーションには工夫を要したが,丁寧な対話を重ね,患者の意欲を高めながら安全に食上げを行うことができた。
【考察】
本症例では,脳卒中後の発声困難例でもVEを用いて咽頭期の観察を行い,嚥下の安全性を評価できた点が重要であった。特に,湿性嗄声の確認が難しい場合でも咽頭残留や誤嚥リスクを客観的に判断し,多職種連携のもとで舌骨上筋群の訓練を継続することで経口摂取を再開できた。本報告は,発声困難例に対しても適切な嚥下評価とリハビリを行う意義を示唆するものと考える。 (COI 開示:なし)
(倫理審査対象外)
(本報告は患者本人の同意を文書で取得済み)