講演情報

[認定P-31]パーキンソン病患者の,糖尿性低血糖に胃瘻造設が有効であった症例

○黒田 直希1、高橋 賢晃1、菊谷 武1 (1. 日本歯科大学口腔リハビリテーション多摩クリニック)
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【緒言】:パーキンソン病の進行している患者に対し継続的な摂食嚥下指導を行っていた際に,糖尿性低血糖で緊急搬送された患者に胃瘻造設が有効であった一例を経験したため報告する。 【症例】:薬が飲みづらさを主訴に来院した。パーキンソン病,糖尿病を既往とした80歳女性であり,日常的にインスリンの自己注射を行っている。初診時は、Yahr2、体重46.9㎏、BMI22.0㎏/㎡であった。初診時上下の義歯によって、咬合支持は確立されておりFILSは8だった。off症状による服薬アドヒアランス低下の為、訪問看護師、薬剤師のサービスが介入している。嚥下内視鏡検査上、嚥下後咽頭残留を認めるが、追加嚥下は有効であった。 【経過】:介入から2年間は体重を維持していたが、パーキンソン病の進行と共に、体重が減少し、2年2か月後に低血糖性昏睡にて緊急搬送された。退院後に確実な服薬の為、主治医に提案した結果、胃瘻造設となる。造設後は、off状態が減少し、EAT-10のスコアは27から15へ改善された。 【考察】:胃瘻造設後、体重増加およびEAT-10の改善を示した。造設後は安定した内服によるoff症状の減少、食事量の増加により体重増加したものと考える。現在,パーキンソン病治療ガイドラインにおいて胃瘻造設のタイミングについての記載はない。そのため、疾患の進行とともに嚥下障害が重度となり、BMIが低下した状態で胃瘻造設をするケースが多い中、BMI20での胃瘻造設は今後の栄養維持、QOLの向上に寄与する可能性が考えられた。


(COI 開示:なし)

(倫理審査対象外)