講演情報

[摂食更新P-08]WEB会議システムを活用した摂食機能療法専門歯科医師の産休育休における継続的医療提供の取り組み

○石川 万里子1 (1. 吉武歯科医院)
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【目的】
 歯科訪問診療を受けている患者は,誤嚥性肺炎が重症化し入院を余儀なくされ,生活が困難になることがある。そのため歯科訪問診療において,全身状態に合わせ,嚥下評価を行い,訓練や口腔清掃などを行っていくことはとても重要であると考えられる。
 そのような患者に対して継続的に医療を提供する必要があるが,摂食機能療法専門歯科医師が出産や育児のため診療ができないことがある。そのため,摂食機能療法専門歯科医師が多職種のスタッフに対し,研修や臨床指導を行うことで,産休育休期間でも質の変わらない医療を提供することは可能であると考えられる。実際、摂食機能療法専門歯科医師が産休育休を取得したが、産休育休を取得する前から臨床指導を行い、多職種が連携することで、継続的に医療を提供することができたことを報告する。
【方法】
 摂食機能療法専門歯科医師が出産予定の半年前より,質の変わらない歯科医療の提供と,医院全体の摂食嚥下リハビリテーションに関わる多職種の基礎的知識レベル・技能レベルの向上を目的に研修と臨床指導を行っていった。
 当医院の歯科医師,歯科衛生士,歯科助手や管理栄養士に対し講義や実習の研修会を,歯科医院内で2か月に1回程度の頻度で全12回開催した(出産前後を除く)。コロナ禍の影響もあり,対面での実施が困難な場合はWEB会議システムのZoomを使用した。産休育休取得前には摂食機能療法専門歯科医師が担当していた患者を共に診療し,カンファレンスを行うことで患者の経過や情報の共有と引継ぎを行った。カンファレンスにおいても対面だけではなくWEB会議システムを使用し,講義や実習の研修会とは別で,訓練の様子や経過の動画等を用いて情報共有を行った。
【結果と考察】
 摂食機能療法専門歯科医師が,歯科医院のスタッフに対し講義や実習などの研修会,臨床指導を行い,多職種の摂食嚥下リハビリテーションの知識や技能を向上させることで,摂食機能療法専門歯科医師が産休育休期間においても患者に対し継続的な医療を提供することが可能であった。さらにWEB会議システムの使用により,頻繁にカンファレンスを実施することができ,スタッフが抱える診療における問題点や疑問点に対し,迅速に対応することが可能であった。
(COI 開示:なし)
(倫理審査対象外)