講演情報
[EP4-3]認知症診断時にかかりつけ歯科医を有していない者の割合とその特徴
○中村 純也1、釘宮 嘉浩1、横山 惟子1、守谷 恵未1、中野 有生1、佐藤 穂香1、永井 彩絵1、村上 正治1 (1. 国立長寿医療研究センター歯科口腔外科部)
【目的】
認知症の有病者数は2022年時点で約443万人,軽度認知障害(Mild Cognitive Impairment,以下MCI)患者も含めると1000万人を超えているとも言われており,今後も増加傾向が続くと見込まれている。認知機能低下とともに口腔環境が悪化することは先行研究からも明らかであり,認知症基本法においても保健医療サービスの提供体制整備の必要性が明記されているにもかかわらず,認知症診断時から診断後にかけての医科歯科連携はまだまだ十分とは言えない現状がある。そこで今回我々は,認知症疾患医療センターと歯科との連携構築に向けて,認知症診断時,かかりつけ歯科医を有していない者の割合とその特徴を調査検討した。
【方法】
対象は2023年4月~2024年3月の当院もの忘れセンター初診患者から問診票に記載が無い者を除外した814名(年齢78.2歳,女性494名,BMI 22.0kg/m2)とした。診断結果から認知症,MCI,正常認知機能(以下NC)の3群に分類,かかりつけ歯科医を有していない者(初診時問診票にて本人,もしくは家族が回答)の割合を算出し3群を比較した(カイ二乗検定)。さらに,目的変数をかかりつけ歯科医の有無,先行研究から関連要因の可能性がある変数として認知機能,教育年数,居住環境,栄養状態,日常生活動作,手段的日常生活動作,要介護度,認知症行動障害尺度,老年期うつ病評価尺度,意欲,経済状況,併存疾患を調査し,これらと年齢,性別,BMIを説明変数とした多重ロジスティック回帰分析を行った。
【結果と考察】
認知症群149/433名(34.4%),MCI群62/213名(29.1%),NC群16/105名(15.2%)がかかりつけ歯科医を有しておらず,認知症群・MCI群とNC群間に有意差が存在した。かかりつけ歯科医を有していない者の特徴としては年齢,性別(男性),教育年数と認知機能低下が抽出された。今回の結果から,認知機能の低下がかかりつけ歯科医をもつことの障壁となっている可能性が示された。このことからも,認知症診断時において認知症疾患医療センターと歯科が口腔管理状況を共有し,継続的な口腔健康管理に取り組むための連携体制構築が必要であると考えられた。
(COI 開示:なし)
(国立研究開発法人国立長寿医療研究センター 倫理・利益相反委員会承認番号1730)
認知症の有病者数は2022年時点で約443万人,軽度認知障害(Mild Cognitive Impairment,以下MCI)患者も含めると1000万人を超えているとも言われており,今後も増加傾向が続くと見込まれている。認知機能低下とともに口腔環境が悪化することは先行研究からも明らかであり,認知症基本法においても保健医療サービスの提供体制整備の必要性が明記されているにもかかわらず,認知症診断時から診断後にかけての医科歯科連携はまだまだ十分とは言えない現状がある。そこで今回我々は,認知症疾患医療センターと歯科との連携構築に向けて,認知症診断時,かかりつけ歯科医を有していない者の割合とその特徴を調査検討した。
【方法】
対象は2023年4月~2024年3月の当院もの忘れセンター初診患者から問診票に記載が無い者を除外した814名(年齢78.2歳,女性494名,BMI 22.0kg/m2)とした。診断結果から認知症,MCI,正常認知機能(以下NC)の3群に分類,かかりつけ歯科医を有していない者(初診時問診票にて本人,もしくは家族が回答)の割合を算出し3群を比較した(カイ二乗検定)。さらに,目的変数をかかりつけ歯科医の有無,先行研究から関連要因の可能性がある変数として認知機能,教育年数,居住環境,栄養状態,日常生活動作,手段的日常生活動作,要介護度,認知症行動障害尺度,老年期うつ病評価尺度,意欲,経済状況,併存疾患を調査し,これらと年齢,性別,BMIを説明変数とした多重ロジスティック回帰分析を行った。
【結果と考察】
認知症群149/433名(34.4%),MCI群62/213名(29.1%),NC群16/105名(15.2%)がかかりつけ歯科医を有しておらず,認知症群・MCI群とNC群間に有意差が存在した。かかりつけ歯科医を有していない者の特徴としては年齢,性別(男性),教育年数と認知機能低下が抽出された。今回の結果から,認知機能の低下がかかりつけ歯科医をもつことの障壁となっている可能性が示された。このことからも,認知症診断時において認知症疾患医療センターと歯科が口腔管理状況を共有し,継続的な口腔健康管理に取り組むための連携体制構築が必要であると考えられた。
(COI 開示:なし)
(国立研究開発法人国立長寿医療研究センター 倫理・利益相反委員会承認番号1730)