講演情報
[O-2-01]後期高齢者における歯科健康診査の受診と歯科受診行動の関係:OHSAKA study
○吉備 皓太郎1、豆野 智昭1、池邉 一典1、武内 聡子1、山本 陵平2、深田 拓司3 (1. 大阪大学大学院歯学研究科 有床義歯補綴学・高齢者歯科学講座、2. 大阪大学キャンパスライフ健康支援・相談センター 保険管理部門、3. 一般社団法人 大阪府歯科医師会)
【目的】
後期高齢者において,口腔の健康問題が多いにもかかわらず,歯科受診率が低いことが知られている。歯科健康診査は,口腔内の問題を早期に発見し,歯科治療を促し,口腔および全身の健康状態の改善につながる可能性がある。しかし,歯科健康診査が後期高齢者の歯科受診行動に与える影響については十分に検討されていない。本研究では,大阪府後期高齢者医療歯科健康診査(以下,歯科健診)の大規模データを用いて,後期高齢者における歯科健診とその後の歯科受診行動の関係を検討することを目的とした。
【方法】
本研究では,2017年10月時点の大阪府後期高齢者医療保険加入者を対象とし,介護施設入所などの理由で歯科健診の対象外となった者,2019年9月までに死亡した者を除外した962,249人に対して調査を行った。2018年4月~2019年3月(以下,健診期間)の歯科健診受診の有無を評価した。また,歯科レセプト請求の有無に基づき,健診期間の前後半年(2017年10月~2018年3月ならびに2019年4月~9月)における歯科受診歴の有無を評価し,健診期間前の歯科受診歴がなかった者を,最終的な分析対象者とした.分析対象者において,健診期間後に歯科受診歴がある者を「変化あり」とし,健診期間後に歯科受診歴がない者を「変化なし」と分類した。歯科健診受診の有無による健診期間後の歯科受診行動を評価し,統計学的な有意差の検証にはカイ二乗検定を用いた。
【結果と考察】
分析対象者は,517,727人(平均年齢82.4歳)であり,歯科健診を受けた群は,43,919人(8.5%),歯科健診を受けなかった群は473,808人(91.5%)であった。歯科健診を受けた群で「変化あり」は23,554人(53.6%),歯科健診を受けなかった群で「変化あり」は125,296人(26.4%)であり,2群間の分布に有意な差を認めた。このことから,後期高齢者において,歯科健康診査の受診は,その後の歯科受診行動に関連する可能性が示された。
【謝辞】
本研究の実施に際し,多大なご尽力賜りました,大阪公立大学大槻奈緒子先生,大阪府後期高齢者医療広域連合,大阪府歯科医師会の皆様に厚く御礼申し上げます。
(COI開示:なし)
(大阪大学キャンパスライフ健康支援・相談センター倫理審査委員会 承認番号2022–2)
後期高齢者において,口腔の健康問題が多いにもかかわらず,歯科受診率が低いことが知られている。歯科健康診査は,口腔内の問題を早期に発見し,歯科治療を促し,口腔および全身の健康状態の改善につながる可能性がある。しかし,歯科健康診査が後期高齢者の歯科受診行動に与える影響については十分に検討されていない。本研究では,大阪府後期高齢者医療歯科健康診査(以下,歯科健診)の大規模データを用いて,後期高齢者における歯科健診とその後の歯科受診行動の関係を検討することを目的とした。
【方法】
本研究では,2017年10月時点の大阪府後期高齢者医療保険加入者を対象とし,介護施設入所などの理由で歯科健診の対象外となった者,2019年9月までに死亡した者を除外した962,249人に対して調査を行った。2018年4月~2019年3月(以下,健診期間)の歯科健診受診の有無を評価した。また,歯科レセプト請求の有無に基づき,健診期間の前後半年(2017年10月~2018年3月ならびに2019年4月~9月)における歯科受診歴の有無を評価し,健診期間前の歯科受診歴がなかった者を,最終的な分析対象者とした.分析対象者において,健診期間後に歯科受診歴がある者を「変化あり」とし,健診期間後に歯科受診歴がない者を「変化なし」と分類した。歯科健診受診の有無による健診期間後の歯科受診行動を評価し,統計学的な有意差の検証にはカイ二乗検定を用いた。
【結果と考察】
分析対象者は,517,727人(平均年齢82.4歳)であり,歯科健診を受けた群は,43,919人(8.5%),歯科健診を受けなかった群は473,808人(91.5%)であった。歯科健診を受けた群で「変化あり」は23,554人(53.6%),歯科健診を受けなかった群で「変化あり」は125,296人(26.4%)であり,2群間の分布に有意な差を認めた。このことから,後期高齢者において,歯科健康診査の受診は,その後の歯科受診行動に関連する可能性が示された。
【謝辞】
本研究の実施に際し,多大なご尽力賜りました,大阪公立大学大槻奈緒子先生,大阪府後期高齢者医療広域連合,大阪府歯科医師会の皆様に厚く御礼申し上げます。
(COI開示:なし)
(大阪大学キャンパスライフ健康支援・相談センター倫理審査委員会 承認番号2022–2)