講演情報
[O-3-02]能勢町における高齢者の保健事業と介護予防の一体的実施 -行政の歯科衛生士の取り組み-
○福岡 智子1,2、高阪 貴之3、上田 和美2,4、吉本 美枝5、小澤 純子6、和田 誠大3、池邉 一典3 (1. 大阪府豊能郡能勢町福祉部健康づくり課、2. 大阪府歯科衛生士会、3. 大阪大学大学院歯学研究科 有床義歯補綴学・高齢者歯科学講座、4. はぐくむ歯科クリニック、5. 京都府歯科衛生士会、6. 大手前短期大学 歯科衛生学科)
【目的】
高齢者のオーラルフレイルは,身体的,心理的,社会的の3つのフレイル要素と密接に関連している。したがって,オーラルフレイルの予防はフレイルや要介護状態の抑制において重要な対策である。大阪府豊能郡能勢町では,令和2年度より高齢者の保健事業と介護予防を一体的に実施し,大阪大学大学院医学系研究科および歯学研究科と連携して能勢町健康長寿事業「のせけん」を展開している。令和2年度後期高齢者医療歯科健康診査の結果,能勢町におけるオーラルフレイル基準抽出者の割合は,大阪府平均を4.1ポイント上回っていた。その対策として,能勢町では,令和6年度に任用された歯科衛生士がポピュレーションアプローチとして地域支援介入を実施している。本研究は,能勢町雇用の行政の歯科衛生士が「通いの場」に介入し,歯科保健指導を実施することによるオーラルフレイル予防および介護予防への効果を検証することを目的とした。
【方法】
対象は, 令和6年5月から10月に能勢町の「通いの場」46か所に参加した346名(平均年齢 76.9歳)とした。歯科衛生士が「通いの場」に出向き,参加者に対して紙芝居によるオーラルフレイルに関する情報提供と口腔体操の解説,口腔周囲筋を効果的に動かす方法の説明を行った。質問紙調査を用いて,歯科衛生士の健康教育の印象や今後の参加意向,口腔体操の行動変容について評価した。
【結果と考察】
歯科衛生士の健康教育の中で印象に残った内容は,紙芝居の内容が最も多く,奥歯の数と転倒リスクについて,口腔衛生が全身に影響する話について,口腔体操の解説の順だった。今後の歯科衛生士の話を聞く機会については,「参加したい」と回答した者が48%と最も多く,「あまり参加したくない」と回答した者は5%であった。自宅で口腔体操をしない者の行動変容についての質問では,準備期の回答が最も多く48%であり,関心期が29%,無関心期が22%であった。今回の調査では,「通いの場」の参加者の多くが口腔と全身の健康が関連していることを理解しており, 口腔機能の維持・向上について関心を持ち,健康維持のための知識を得たいと考えていることが明らかになった。行政の歯科衛生士が定期的に「通いの場」に出向き歯科保健指導を行うことは,参加者の健康意識の向上に効果的であると考えられる。
(COI開示:なし)
高齢者のオーラルフレイルは,身体的,心理的,社会的の3つのフレイル要素と密接に関連している。したがって,オーラルフレイルの予防はフレイルや要介護状態の抑制において重要な対策である。大阪府豊能郡能勢町では,令和2年度より高齢者の保健事業と介護予防を一体的に実施し,大阪大学大学院医学系研究科および歯学研究科と連携して能勢町健康長寿事業「のせけん」を展開している。令和2年度後期高齢者医療歯科健康診査の結果,能勢町におけるオーラルフレイル基準抽出者の割合は,大阪府平均を4.1ポイント上回っていた。その対策として,能勢町では,令和6年度に任用された歯科衛生士がポピュレーションアプローチとして地域支援介入を実施している。本研究は,能勢町雇用の行政の歯科衛生士が「通いの場」に介入し,歯科保健指導を実施することによるオーラルフレイル予防および介護予防への効果を検証することを目的とした。
【方法】
対象は, 令和6年5月から10月に能勢町の「通いの場」46か所に参加した346名(平均年齢 76.9歳)とした。歯科衛生士が「通いの場」に出向き,参加者に対して紙芝居によるオーラルフレイルに関する情報提供と口腔体操の解説,口腔周囲筋を効果的に動かす方法の説明を行った。質問紙調査を用いて,歯科衛生士の健康教育の印象や今後の参加意向,口腔体操の行動変容について評価した。
【結果と考察】
歯科衛生士の健康教育の中で印象に残った内容は,紙芝居の内容が最も多く,奥歯の数と転倒リスクについて,口腔衛生が全身に影響する話について,口腔体操の解説の順だった。今後の歯科衛生士の話を聞く機会については,「参加したい」と回答した者が48%と最も多く,「あまり参加したくない」と回答した者は5%であった。自宅で口腔体操をしない者の行動変容についての質問では,準備期の回答が最も多く48%であり,関心期が29%,無関心期が22%であった。今回の調査では,「通いの場」の参加者の多くが口腔と全身の健康が関連していることを理解しており, 口腔機能の維持・向上について関心を持ち,健康維持のための知識を得たいと考えていることが明らかになった。行政の歯科衛生士が定期的に「通いの場」に出向き歯科保健指導を行うことは,参加者の健康意識の向上に効果的であると考えられる。
(COI開示:なし)