講演情報
[O-3-03]ビデオカメラと機械学習を用いた嚥下機能評価システムの開発
○山田 愛花1、森豊 理英子2、肥後 智行2、阿部 大数3、中川 量晴2、稲次 基希3、戸原 玄2、荒船 龍彦4 (1. 東京電機大学大学院理工学研究科電子工学専攻、2. 東京科学大学大学院医歯学総合研究科医歯学専攻老化制御学講座摂食嚥下リハビリテーション学分野、3. 東京科学大学医学部付属病院脳神経外科、4. 東京電機大学理工学部理工学科電子情報・生体医工学系)
【目的】
嚥下機能の評価手法として行われる嚥下造影検査(VF)は,嚥下に伴う口腔から食道における各器官の詳細な動きを把握できる点に長所がある。しかしVFに必要なX線撮像装置の無い介護施設などの入居者には実施することが困難であり,より簡便で定量的に評価可能な手法が求められている。そこで本研究ではビデオカメラと画像処理を用いた嚥下機能評価システムの開発を行うことを目的とした。
【方法】
患者の喉頭隆起部と肩に10mm×10mmサイズの紙製二次元マーカ(ARマーカ)を貼りつけ,VF検査と同時に患者正面下方部から4K解像度,30コマ/秒でビデオカメラで動画撮影した。両撮影は金属拍子木を用いて撮影後に時間同期を取った。撮影したビデオ映像から1コマごとの静止画を切り出し,機械学習と画像処理を用いてARマーカの画像内の位置座標を抽出した。そして喉頭隆起部のARマーカ座標から喉頭隆起部の移動軌跡を導出した。VF動画から求めた舌骨の挙上開始タイミングを開始点とし,嚥下に伴う動作で喉頭隆起部が最も高くなった位置までの移動量を喉頭挙上量として求め,その後画像のピクセル数から実寸のmmに換算して,喉頭挙上量を半自動で導出するソフトウエアを開発した。開発したソフトウエアを用いて評価実験を行った。被験者は男性5名(80~91歳),女性1名(81歳)を対象とした。バリウム水4cc嚥下のVF検査から,不顕性誤嚥あり,誤嚥・喉頭侵入なし(健常群),の2群に分類し,男女それぞれの被験者群ごとにソフトウエアで求めた喉頭挙上量と比較した。
【結果と考察】
男性被験者群では,喉頭挙上量は健常群(5名)が3.2±2.4mm,不顕性誤嚥群(1名)が9.1mm,女性被験者群では健常群(1名)1.9mmとなり,健常群に比べ不顕性誤嚥群が顕著に延長する結果となった。その原因として,加齢による舌骨上筋群や下筋群の機能低下に伴い,舌骨や喉頭が下垂し,喉頭挙上量が大きくなったことが考えらえる。開発した画像処理ソフトウエアを用いることで,マーカの貼付けとビデオ撮影のみの簡便な操作で喉頭挙上量を導出することで,嚥下機能の評価を行える可能性が示唆された。
(COI開示:なし)
(東京科学大学医学部 倫理審査委員会承認番号 M2023-247)
(本研究は特定臨床研究・治験 非該当)
嚥下機能の評価手法として行われる嚥下造影検査(VF)は,嚥下に伴う口腔から食道における各器官の詳細な動きを把握できる点に長所がある。しかしVFに必要なX線撮像装置の無い介護施設などの入居者には実施することが困難であり,より簡便で定量的に評価可能な手法が求められている。そこで本研究ではビデオカメラと画像処理を用いた嚥下機能評価システムの開発を行うことを目的とした。
【方法】
患者の喉頭隆起部と肩に10mm×10mmサイズの紙製二次元マーカ(ARマーカ)を貼りつけ,VF検査と同時に患者正面下方部から4K解像度,30コマ/秒でビデオカメラで動画撮影した。両撮影は金属拍子木を用いて撮影後に時間同期を取った。撮影したビデオ映像から1コマごとの静止画を切り出し,機械学習と画像処理を用いてARマーカの画像内の位置座標を抽出した。そして喉頭隆起部のARマーカ座標から喉頭隆起部の移動軌跡を導出した。VF動画から求めた舌骨の挙上開始タイミングを開始点とし,嚥下に伴う動作で喉頭隆起部が最も高くなった位置までの移動量を喉頭挙上量として求め,その後画像のピクセル数から実寸のmmに換算して,喉頭挙上量を半自動で導出するソフトウエアを開発した。開発したソフトウエアを用いて評価実験を行った。被験者は男性5名(80~91歳),女性1名(81歳)を対象とした。バリウム水4cc嚥下のVF検査から,不顕性誤嚥あり,誤嚥・喉頭侵入なし(健常群),の2群に分類し,男女それぞれの被験者群ごとにソフトウエアで求めた喉頭挙上量と比較した。
【結果と考察】
男性被験者群では,喉頭挙上量は健常群(5名)が3.2±2.4mm,不顕性誤嚥群(1名)が9.1mm,女性被験者群では健常群(1名)1.9mmとなり,健常群に比べ不顕性誤嚥群が顕著に延長する結果となった。その原因として,加齢による舌骨上筋群や下筋群の機能低下に伴い,舌骨や喉頭が下垂し,喉頭挙上量が大きくなったことが考えらえる。開発した画像処理ソフトウエアを用いることで,マーカの貼付けとビデオ撮影のみの簡便な操作で喉頭挙上量を導出することで,嚥下機能の評価を行える可能性が示唆された。
(COI開示:なし)
(東京科学大学医学部 倫理審査委員会承認番号 M2023-247)
(本研究は特定臨床研究・治験 非該当)