講演情報

[O-3-04]2011年1月~2023年12月の間に当院が歯科訪問診療で施行した食支援について

○斎藤 徹1,3、スクリボ 理絵1、髙橋 耕一2、山崎 裕3、栂安 秀樹1 (1. 医療法人社団秀和会つがやす歯科医院、2. みなよし歯科、3. 北海道大学大学院歯学研究院 口腔健康科学分野 高齢者歯科学教室)
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【目的】わが国では人口の高齢化にともない要介護高齢者が増加しており、当院でも要介護高齢者や有病者に対して歯科訪問診療を積極的に行なっている。近年、摂食機能療法などの食支援の依頼が増加しており、特別養護老人ホームや介護老人保健施設などの介護施設の入所者や居宅療養者に対する食支援も行なっている。本発表ではその概要を報告する。
【方法】対象は、2011年1月~2023年12月の間に当院が歯科訪問診療で食支援を施行した新患症例1,562例(男性614例、女性948例、平均年齢82.3歳)(再新患を除く)とした。本研究のデータ収集には電子カルテシステムOpt.one(オプテック)などを用いた。
【結果】同期間に当院が歯科訪問診療を施行した新患症例は9,164例(男性3,562例、女性5,602例、平均年齢82.0歳)であり、食支援を施行した症例は17.0%を占めていた。食支援症例の年齢分布は、80歳代が最も多く640例(41.0%)で、次いで90歳代469例(30.0%)、70歳代259例(16.6%)であった。基礎疾患の内訳は認知症が最も多く951例(60.9%)であり、次いで肺炎807例(51.7%)、脳梗塞551例(35.3%)であった(基礎疾患の重複症例あり)。食支援症例に施行した歯科治療の内訳としては歯周治療が最も多く951例(60.9%)で、次いで義歯調整・修理495例(31.7%)(義歯新製症例を除く)、義歯新製418例(26.8%)、抜歯320例(20.5%)であった(歯科治療の内容の重複症例あり)。
【考察】当院が歯科訪問診療を施行している要介護高齢者は、摂食嚥下機能の低下を来たす様々な疾患に罹患している場合が多く、また、加齢そのものも摂食嚥下障害の原因になる。高齢化が進行しているわが国では今後益々食支援の需要が高まると考えられる。食支援の体制を充実させるためには、歯科医療機関のみならず、地域の医療・介護施設の関連職種との多職種連携が必須である。当院は今後も関連多職種と連携して要介護高齢者や有病者の食支援を続けていきたいと考えている。
(COI開示:なし)
(北海道大学大学院歯学研究院臨床・疫学研究倫理審査委員会承認番号:2021第3号)