講演情報

[O-3-05]地域コミュニティ「江戸川暮らしの保健室 かなで」における食事会「旬菜亭」の運営と効果について

○平澤 風歌1、川口 美喜子2、滝本 真弓3、伊藤 眞知子3、島田 星羅1、櫻井 薫1、小林 健一郎1 (1. こばやし歯科クリニック、2. 札幌保健医療大学大学院、3. 暮らしの保健室かなで)
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【目的】
 民間のボランティアセンターである「江戸川暮らしの保健室」は、2014年1月に地域住民の暮らしの相談場所として開設した。2019年9月から介護保険制度に基づく地域介護予防活動支援事業「通いの場」として地域の高齢者が利用し、また多職種の実習の場として昼食会「旬菜亭(しゅんさいてい)」を始めた。コロナ禍を体験し継続開催している。高齢者の孤立防止と健康な食習慣を支援する「旬菜亭」の運営方法と事業効果を報告する。
【方法】
 「旬菜亭」は2019年9月~2024年12月まで67回開催した。コロナ禍は食事会の中止とお弁当に変更した。実施期間の利用者184名。調理担当は、管理栄養士が中心で歯科衛生士、薬剤師とその他に見学と実習に管理栄養士養成施設学生、歯科臨床研修医、薬局管理栄養士が実施した。利用者は食欲、食生活の不安に関するチェックリストCNAQ-Jの「食欲」「満腹感」「空腹感」「味の感じ方」「味の変化」「食事回数」「食事中の体調」「普段の気持ち」8項目を実施した。また、食事会の感想や口腔、栄養の不安や問題を管理栄養士と歯科衛生士に相談した内容を検討した。
【結果と考察】
 施設の最大許容利用者数は9名。利用者の最高年齢102歳。利用者183名中、女性162人(88.5%)、男性21人(11.5%)。延べ利用者563名。利用回数1-2回136名、3-5回28名、6-10回6名、11-20回11名、21回以上3名、再来率は42%であった。多職種と見学実習の参加は、利用者の口腔と栄養と食事の連携を実践的に学ぶことができた。食事会は、管理栄養士が献立を作成し、量・バランスを伝える「体にやさしい栄養バランスプレート」に盛り付け食の話題と食意識を深めた。食形態調整が必要な利用者にも対応した。会食時の栄養と歯科に関わる話題提供は、利用者の歯科と栄養の健康相談と受診勧奨となった。CNAQ-Jのチェックから「空腹感を感じない」が多く認められたが、食事回数や満腹感や食欲には影響を及ぼしていない結果であった。栄養と口腔の専門職種が開催する「旬菜亭」の取り組みは、利用者の健康予防と、学生や研修生の実践的な学びの場でもあり、地域のヘルス・コミュニティの場として効果的であると考えられた。今回の報告は、既存の非識別加工情報のため倫理審査は未受審の研究である。(COI開示:なし)(倫理審査対象外)