講演情報
[O-3-06]オトガイ舌骨筋の筋特性と口腔機能:超音波診断装置による地域在住高齢女性の筋硬度,輝度,筋量による検討
○市川 陽子1,2、加藤 陽子1,2、宮下 直也1,2、青嶋 美紀1,2、美濃和 秀幸1,2,4、手銭 ひろ1,2、大日方 雪乃1,2、吉田 光由3、田村 文誉1,2、菊谷 武1,2 (1. 日本歯科大学口腔リハビリテーション多摩クリニック、2. 日本歯科大学附属病院 口腔リハビリテーション科、3. 藤田医科大学 歯科・口腔外科学講座、4. JA長野厚生連佐久総合病院)
【目的】
高齢者の嚥下関連筋の筋特性評価法として,近年,筋の弾性をあらわす筋硬度による評価が注目されている。口腔機能との関連において,超音波診断装置で解析される筋の輝度や筋量についてはこれまでに報告がみられるが,筋硬度については,筋機能との関連など未だ不明な点が多い。本研究では,オトガイ舌骨筋の筋硬度と口腔機能および他の筋特性評価法との関連について明らかにすることを目的とした。
【方法】
対象は,2023年10月および2024年6月に京都府K市で開催された体力測定会に参加した高齢女性のうち研究の同意を得た196名,77.2 歳 (四分位範囲: 74.5–81.1 歳)である。超音波診断装置 LOGIQ® P10を用い,被験者には座位で下顎安静位を指示した。プローブは,顎下部中央でオトガイ隆起と舌骨先端を結んだ直線に平行に設置した。せん断波の伝搬精度を可視化した画像上で筋肉の幅に応じて20-70mm2の関心領域を設定し,硬度計測を行った。輝度についてはImageJにて関心領域の平均輝度を算出した。筋量としてオトガイ舌骨筋断面積,口腔機能としてオーラルディアドコキネシス(/pa/, /ta/, /ka/)および舌圧を計測し,年齢を調整変数とした重回帰分析を行い,オトガイ舌骨筋筋硬度と輝度,筋量や口腔機能との関連を検討した。
【結果と考察】
オトガイ舌骨筋の硬度は,オトガイ舌骨筋の輝度(β = 0.215, p = 0.003)および,オトガイ舌骨筋断面積(β = 0.223, p = 0.002)と正の関連を認めた。また,オトガイ舌骨筋の硬度は,/pa/(β = −0.233, p = 0.002) ,/ta/(β = −0.183, p = 0.011) ,/ka/(β = −0.603, p = 0.043),輝度は,/ta/ (β = −0.196, p = 0.006)と負の関連を,オトガイ舌骨筋断面積は,舌圧(β = 0.171, p = 0.019)と正の関連を示した。上記の結果より,オトガイ舌骨筋の硬度は,他の筋特性評価法とは異なる特徴を有しながらも,口腔機能と関連する可能性が示唆された。
(COI開示:なし)(日本歯科大学 倫理審査委員会承認番号 NDU-T2023-39)
高齢者の嚥下関連筋の筋特性評価法として,近年,筋の弾性をあらわす筋硬度による評価が注目されている。口腔機能との関連において,超音波診断装置で解析される筋の輝度や筋量についてはこれまでに報告がみられるが,筋硬度については,筋機能との関連など未だ不明な点が多い。本研究では,オトガイ舌骨筋の筋硬度と口腔機能および他の筋特性評価法との関連について明らかにすることを目的とした。
【方法】
対象は,2023年10月および2024年6月に京都府K市で開催された体力測定会に参加した高齢女性のうち研究の同意を得た196名,77.2 歳 (四分位範囲: 74.5–81.1 歳)である。超音波診断装置 LOGIQ® P10を用い,被験者には座位で下顎安静位を指示した。プローブは,顎下部中央でオトガイ隆起と舌骨先端を結んだ直線に平行に設置した。せん断波の伝搬精度を可視化した画像上で筋肉の幅に応じて20-70mm2の関心領域を設定し,硬度計測を行った。輝度についてはImageJにて関心領域の平均輝度を算出した。筋量としてオトガイ舌骨筋断面積,口腔機能としてオーラルディアドコキネシス(/pa/, /ta/, /ka/)および舌圧を計測し,年齢を調整変数とした重回帰分析を行い,オトガイ舌骨筋筋硬度と輝度,筋量や口腔機能との関連を検討した。
【結果と考察】
オトガイ舌骨筋の硬度は,オトガイ舌骨筋の輝度(β = 0.215, p = 0.003)および,オトガイ舌骨筋断面積(β = 0.223, p = 0.002)と正の関連を認めた。また,オトガイ舌骨筋の硬度は,/pa/(β = −0.233, p = 0.002) ,/ta/(β = −0.183, p = 0.011) ,/ka/(β = −0.603, p = 0.043),輝度は,/ta/ (β = −0.196, p = 0.006)と負の関連を,オトガイ舌骨筋断面積は,舌圧(β = 0.171, p = 0.019)と正の関連を示した。上記の結果より,オトガイ舌骨筋の硬度は,他の筋特性評価法とは異なる特徴を有しながらも,口腔機能と関連する可能性が示唆された。
(COI開示:なし)(日本歯科大学 倫理審査委員会承認番号 NDU-T2023-39)