講演情報
[O-3-11]歯科訪問診療における口腔カンジダ症の迅速検査の意義
○木森 久人1 (1. 医療法人社団八洲会 あしがら西湘歯科診療所)
【緒言・目的】口腔カンジダ症は、カンジダ属の真菌によって引き起こされる感染症である。そのため、確定診断としてカンジダの存在を確認することが必要である。従来より口腔内検体からの培養、もしくは直接鏡検法が用いられてきた。しかし、歯科訪問診療の場においては培養キットはあるものの、鏡検については顕微鏡の持ち運びが困難でありほとんど用いられてこなかった。そこで、今回は携帯形微生物観察器を活用した直接鏡検を経験したので報告する。
【症例および経過】軽費老人ホーム入居中の86歳女性。入れ歯が壊れたとのことで初診。上顎口蓋部で破損しており,過去の修理歴も多く新製をすすめ,同意を得た。その後新義歯を装着し,経過良好だったが,義歯床部粘膜に発赤を認めたり,白苔の発生を認めることがあった。自覚症状に乏しかったが熱っぽさを訴えることもあり,口腔カンジダ症を疑って直接鏡検法による検査を実施した。その場で酵母状,菌糸状のカンジダを認め,フロリードゲルを処方した。1週間で快方に向かい,発赤や白苔,自覚症状ともに改善した。その後義歯清掃法の見直しや義歯管理についても指導を行い,再発は認められていない。
なお,本報告の発表について患者本人から文書による同意を得ている。
【考察】今回,直接鏡検法にて,口腔カンジダ症を疑う所見のある患者に対し,即日での診断と治療を行うことができた。口腔カンジダ症の臨床所見による診断では,最も確率の高い所見を組み合わせても70%程度の正診率であり,確実性に欠ける。培地を用いた培養法は最も確実な方法ではあるが,培養時間がかかるため,即日での対応が困難という欠点があった。直接鏡検法では,カンジダ菌の姿を直接見ることにより確実な診断が行え,かつ短時間での診断が可能なため即日治療に移れるという大きなメリットがある。歯科訪問診療においては,顕微鏡を持ち運ぶことが困難であったため,これまでは直接鏡検法は用いられてこなかったが,携帯形微生物観察器である見る菌®️は小型軽量,取扱いも簡単で,また検査画像を静止画,動画に残すことができるため患者や家族への説明,また事後での症例検討にも使えるなど利用用途は広い。以上より,携帯形微生物観察器を用いた口腔カンジダ症の鏡検は、歯科訪問診療の場においては有効かつ迅速な診断法として役立つ可能性がある。(倫理審査対象外)( COI 開示:株式会社 mil-kin)
【症例および経過】軽費老人ホーム入居中の86歳女性。入れ歯が壊れたとのことで初診。上顎口蓋部で破損しており,過去の修理歴も多く新製をすすめ,同意を得た。その後新義歯を装着し,経過良好だったが,義歯床部粘膜に発赤を認めたり,白苔の発生を認めることがあった。自覚症状に乏しかったが熱っぽさを訴えることもあり,口腔カンジダ症を疑って直接鏡検法による検査を実施した。その場で酵母状,菌糸状のカンジダを認め,フロリードゲルを処方した。1週間で快方に向かい,発赤や白苔,自覚症状ともに改善した。その後義歯清掃法の見直しや義歯管理についても指導を行い,再発は認められていない。
なお,本報告の発表について患者本人から文書による同意を得ている。
【考察】今回,直接鏡検法にて,口腔カンジダ症を疑う所見のある患者に対し,即日での診断と治療を行うことができた。口腔カンジダ症の臨床所見による診断では,最も確率の高い所見を組み合わせても70%程度の正診率であり,確実性に欠ける。培地を用いた培養法は最も確実な方法ではあるが,培養時間がかかるため,即日での対応が困難という欠点があった。直接鏡検法では,カンジダ菌の姿を直接見ることにより確実な診断が行え,かつ短時間での診断が可能なため即日治療に移れるという大きなメリットがある。歯科訪問診療においては,顕微鏡を持ち運ぶことが困難であったため,これまでは直接鏡検法は用いられてこなかったが,携帯形微生物観察器である見る菌®️は小型軽量,取扱いも簡単で,また検査画像を静止画,動画に残すことができるため患者や家族への説明,また事後での症例検討にも使えるなど利用用途は広い。以上より,携帯形微生物観察器を用いた口腔カンジダ症の鏡検は、歯科訪問診療の場においては有効かつ迅速な診断法として役立つ可能性がある。(倫理審査対象外)( COI 開示:株式会社 mil-kin)