講演情報
[O-3-12]特別養護老人ホームにおける経口維持支援を目的とした多職種による取り組み
○山田 崇弘1,3、中山 雪詩2,3、山下 佳雄3 (1. 医療法人社団松下会 すこやか歯科クリニック、2. 佐賀中央歯科口腔外科、3. 佐賀大学医学部歯科口腔外科学講座)
【緒言・目的】
平成27年の介護報酬改定において、経口摂取を支援する取り組みについての評価が重視されるようになった。今回、当施設における具体的な支援の現状と今後の課題について報告する。平成28年1月~6月の間に介入した3名の経口維持支援を評価した。また施設職員を対象とした意識調査から現状の問題点と今後の課題を分析した。なお、本報告の発表について患者の家族からの文書による同意を得ている。
【症例および経過】
症例① 84歳男性:食事に集中できないこと、刺激に対して敏感に反応あり全身の筋緊張が強いことで開口困難な状態であったが、馴染のある介護士の関わり、安楽な姿勢保持、食前の口腔ケアなどにより、食事摂取量・体重の維持ができた。さらにコップを握って飲むなどの自発的な行為がみられるようになった。症例② 84歳女性:家族より食物をなかなか飲み込めず嚥下に時間がかかることを指摘された。介入として歯ごたえのある食材で咀嚼を促す、安楽な姿勢保持、食前の口腔ケアなどを取り入れたことで、現在も常食の摂取が可能となった。症例③ 85歳女性:認知症の進行によりスプーンを噛むなど原始反射がみられ食事に集中できずに自立して食事が摂れなくなった。食事環境の見直し、安楽な姿勢保持、赤ちゃん煎餅による咀嚼・嚥下訓練などの効果により、経口摂取が継続可能となった。施設職員を対象とした意識調査の結果、職員数の不足や取り組みに要する時間の不足などの問題点が浮き彫りになり、多職種による経口維持支援の体制が十分に構築できていないことが判明した。
【考察】
経口摂取を支援するためには患者個々の特徴を捉えることが重要である。つまり摂食嚥下機能のどこに問題があるのか医師や歯科医師が専門的に診断し、多職種が多方面から評価することで具体的な支援法を計画、実践することが可能となる。栄養管理のみならず、多職種が多面的に摂食・嚥下・口腔機能評価を行うことは、経口摂取維持を支援のために不可欠と考える。
(利益相反なし)
(COI 開示:なし)
(倫理審査の対象外)
平成27年の介護報酬改定において、経口摂取を支援する取り組みについての評価が重視されるようになった。今回、当施設における具体的な支援の現状と今後の課題について報告する。平成28年1月~6月の間に介入した3名の経口維持支援を評価した。また施設職員を対象とした意識調査から現状の問題点と今後の課題を分析した。なお、本報告の発表について患者の家族からの文書による同意を得ている。
【症例および経過】
症例① 84歳男性:食事に集中できないこと、刺激に対して敏感に反応あり全身の筋緊張が強いことで開口困難な状態であったが、馴染のある介護士の関わり、安楽な姿勢保持、食前の口腔ケアなどにより、食事摂取量・体重の維持ができた。さらにコップを握って飲むなどの自発的な行為がみられるようになった。症例② 84歳女性:家族より食物をなかなか飲み込めず嚥下に時間がかかることを指摘された。介入として歯ごたえのある食材で咀嚼を促す、安楽な姿勢保持、食前の口腔ケアなどを取り入れたことで、現在も常食の摂取が可能となった。症例③ 85歳女性:認知症の進行によりスプーンを噛むなど原始反射がみられ食事に集中できずに自立して食事が摂れなくなった。食事環境の見直し、安楽な姿勢保持、赤ちゃん煎餅による咀嚼・嚥下訓練などの効果により、経口摂取が継続可能となった。施設職員を対象とした意識調査の結果、職員数の不足や取り組みに要する時間の不足などの問題点が浮き彫りになり、多職種による経口維持支援の体制が十分に構築できていないことが判明した。
【考察】
経口摂取を支援するためには患者個々の特徴を捉えることが重要である。つまり摂食嚥下機能のどこに問題があるのか医師や歯科医師が専門的に診断し、多職種が多方面から評価することで具体的な支援法を計画、実践することが可能となる。栄養管理のみならず、多職種が多面的に摂食・嚥下・口腔機能評価を行うことは、経口摂取維持を支援のために不可欠と考える。
(利益相反なし)
(COI 開示:なし)
(倫理審査の対象外)