講演情報

[O-3-16]閉塞性睡眠時無呼吸と口腔機能との予備的検討

○大塩 茉奈1、多田 瑛1、水谷 早貴1、天埜 晧太1、谷口 裕重1 (1. 朝日大学 摂食嚥下リハビリテーション学分野)
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【目的】
 閉塞性睡眠時無呼吸(以下OSA)は,咽頭の解剖学的形態や筋力の低下等により上気道の閉塞あるいは狭窄が起きる。OSAは摂食嚥下機能に影響を及ぼすと報告されているが(E Jaghagen, 2011),口腔機能との関連はいまだ不明な点が多い。そこで本研究では,OSAと口腔機能との関連性について予備的検討を行った。
【方法】
 当院睡眠医療センターに通院しておりOSAと診断された患者25名(男性19人, 62.3±10.1歳,BMI平均25.2kg/m²)を対象とし,M県K市の地域歯科診療所にて継続治療中もしくはメインテナンスの患者59人(男性42人, 64.6±11.3歳,BMI平均23.4kg/m²)を対照群とした。これらを年齢別で40~69歳(OSA群:15人,対照群:33人),70~79歳(OSA群:9人,対照群:26人)の2群に大別し,口腔機能精密検査を実施した。口腔機能低下症の割合および口腔機能精密検査の各項目において基準値から外れた割合(該当率)を調査した。また,BMIから低体重・普通体重・肥満の割合を算出した。
【結果と考察】 
 40~79歳全体で最も該当率が高かったのは舌口唇運動機能の/ka/音であった。40~69歳の/ka/該当率はOSA群43.8%,対照群51.5%であるのに対し,70~79歳ではOSA群88.9%,対照群65.4%であった。口腔機能低下症の割合は,40~69歳ではOSA群12.5%,対照群27.3%であるのに対し,70~79歳ではOSA群55.6%,対照群26.9%であった。/ka/該当者のうち40~69歳では対照群の肥満の割合は47%であるのに対し,OSA群は71.4%であった。70~79歳では対照群の肥満13%,低体重12%であるのに対し,OSA群は肥満25%,低体重25%であり肥満と低体重の割合が増加していた。OSA患者では70歳以上の群で舌口唇運動機能低下や口腔機能低下症の該当率が高く,低体重でその割合が増加する傾向を示した。OSAでは舌根沈下も関与し,奥舌の運動は咽頭圧形成に関与する嚥下障害との関連が報告されている。今回の予備的調査ではOSAにおいて奥舌の巧緻性低下が摂食嚥下障害発症の一因と推察された。今後は症例数を増やすとともに,全身機能や栄養状態を考慮し,口腔機能とOSAとの関連を追加検討していく。
(COI開示:なし)
(朝日大学病院医学倫理審査委員 承認番号:20221107)