講演情報

[O-3-17]ジャイロセンサーを用いた食事姿勢解析装置の開発―(第1報)健常者による嚥下時の頸部後屈角度について―

○飯田 貴俊1、山下 雅稔2、藤原 潤1,3、煙山 修平4、會田 英紀4、金本 路5、植木 沢美5、末永 智美5、吉野 夕香6、山田 律子7 (1. 北海道医療大学 歯学部 生体機能・病態学系 摂食機能療法学、2. 北海道医療大学歯学部、3. 医療法人秀友会 札幌秀友会病院、4. 北海道医療大学歯学部 生体機能・病態学系 高齢者・有病者歯科学分野、5. 北海道医療大学在宅歯科診療所、6. 北海道医療大学病院 医療相談・地域連携室、7. 北海道医療大学看護福祉学部 看護学科 老年看護学分野)
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【目的】
 摂食嚥下運動において食事姿勢は重要であり,特に飲水時等にみられる頸部後屈位は咽頭残留の増加や嚥下困難感の増加が過去の報告で指摘されている。これまで頸部角度の定量的な検証は嚥下造影検査を用いた侵襲的な方法が一般的となっていたが,これでは短時間の評価や指示嚥下に限られた施行での評価しか行えなかった。本研究の目的は,我々が開発したジャイロセンサー式食事姿勢解析装置(posture analyzer with gyro sensor for eating; PAGE)を用いて,健常成人の飲水時の姿勢変化を調査し,非侵襲的な方法で頸部姿勢の経時的な角度変化を明らかにすることである。
【方法】
 対象者は健常者8名。PAGEとして頭部,頸部,胸部に6軸ジャイロセンサーを搭載したセンサーボックスを被験者に装着させた。頭部センサーはフランクフルト平面に平行となるよう設置した。センサーをPCに接続し頭部,頸部,胸部の角度変化(Roll角,Pitch角,Yaw角)を経時的に記録した。PAGEを装着した状態で,紙コップを使用して10㎖の飲料水を嚥下させた。嚥下時の様子は動画でも記録した。コップ把持時と最大頸部後屈時の角度を比較した(Wilcoxon符号付き順位検定, p<0.05)。
【結果と考察】
8名とも飲水時の経時的な頭部,頸部,胸部角度変化を記録できた。コップ把持時および最大頸部後屈時の頸部センサーのPitch角はそれぞれ-6.2±6.9度,25.7±10.7度(平均±SD)で2群間に有意差が認められた。PAGEを用いることで非侵襲的な方法で頸部姿勢の経時的な角度変化を計測できた。(COI 開示:なし)(北海道医療大学歯学倫理審査委員会承認番号:第249号)