講演情報
[課題1-1]施設入居要介護高齢者の義歯の質と食形態との関連
○平山 茉奈1、畑中 幸子1、山根 邦仁2、向井 友子2、鈴木 鵬生1、浪川 夏絵1、杉木 享1、寺岡 正譜1、赤穂 和樹1、鈴木 啓之1、大澤 淡紅子1、古屋 純一1 (1. 昭和医科大学 大学院歯学研究科 口腔機能管理学分野、2. 昭和医科大学 歯学部 口腔健康管理学講座 口腔機能管理学部門)
【目的】要介護高齢者では,ペースト食など咀嚼を要しない食形態が設定されることが多い。咀嚼を要しない食形態は,誤嚥や窒息に対する安全性は高いが,栄養摂取の効率性や咀嚼機能の維持という点では劣り,食べる楽しみの喪失にも通じやすい。食形態の決定には,全身や口腔の様々な要因が関連しうるが,高齢者に多い義歯装着や義歯の質との関連については,十分には明らかになっていない。不良な義歯の装着は,咀嚼機能の低下を通じて,咀嚼・嚥下機能と食形態の乖離を惹起するため,義歯の質を適切に評価し,食形態の設定時に考慮する必要性があると推察される。そこで本研究では,施設入居高齢者を対象に,食形態と口腔機能との関連を義歯装着と義歯の質の観点から明らかにすることを目的とした。
【方法】研究参加者は,2020年8月から2024年3月の間に某施設に入居した要介護高齢者307名のうち,経口のみで栄養摂取している202名(男性34名,女性168名,平均年齢 86.8±8.1歳)とした。調査項目は,年齢,性別,全身疾患,要介護度,食形態(Functional oral intake scale,FOIS),現在歯数,口腔環境(Oral health assessment tool,OHAT),義歯の使用有無,摂食嚥下機能(Dysphagia severity scale,DSS),義歯の質(5-Defects)とした。最初に,食形態と義歯の使用との関連について重回帰分析を行い,次に義歯使用者に限定し,食形態と義歯の質との関連について重回帰分析を行った。有意水準は5%とした。
【結果と考察】FOISの高値には,低い要介護度,多い現在歯数,義歯の使用,高いDSSが関連していた。また,義歯使用者のFOIS高値には,義歯の質の良さと高いDSSが関連していた。一般に,施設入居高齢者の食形態は,摂食嚥下機能を考慮して設定され,本研究の結果もそれを支持するものであった。その上で,義歯の使用が良好な食形態の維持・向上に貢献できる可能性があり,また,歯科の専門性の1つでもある義歯の質の維持・向上が,良好な食形態の維持・向上に貢献できる可能性が示唆された。
(COI開示:なし)
(昭和大学歯科病院臨床試験審査委員会:21-075-B)
【方法】研究参加者は,2020年8月から2024年3月の間に某施設に入居した要介護高齢者307名のうち,経口のみで栄養摂取している202名(男性34名,女性168名,平均年齢 86.8±8.1歳)とした。調査項目は,年齢,性別,全身疾患,要介護度,食形態(Functional oral intake scale,FOIS),現在歯数,口腔環境(Oral health assessment tool,OHAT),義歯の使用有無,摂食嚥下機能(Dysphagia severity scale,DSS),義歯の質(5-Defects)とした。最初に,食形態と義歯の使用との関連について重回帰分析を行い,次に義歯使用者に限定し,食形態と義歯の質との関連について重回帰分析を行った。有意水準は5%とした。
【結果と考察】FOISの高値には,低い要介護度,多い現在歯数,義歯の使用,高いDSSが関連していた。また,義歯使用者のFOIS高値には,義歯の質の良さと高いDSSが関連していた。一般に,施設入居高齢者の食形態は,摂食嚥下機能を考慮して設定され,本研究の結果もそれを支持するものであった。その上で,義歯の使用が良好な食形態の維持・向上に貢献できる可能性があり,また,歯科の専門性の1つでもある義歯の質の維持・向上が,良好な食形態の維持・向上に貢献できる可能性が示唆された。
(COI開示:なし)
(昭和大学歯科病院臨床試験審査委員会:21-075-B)