講演情報

[課題1-2]認知症患者の補綴歯科治療に関するエビデンスの現状
~ガイドライン後の英文文献の集積状況~

○金本 成一1、五十嵐 憲太郎2、堀部 耕広3、金澤 学4、枝広 あや子5、平野 浩彦5、伊藤 誠康2 (1. 日本大学大学院松戸歯学研究科 有床義歯補綴学、2. 日本大学松戸歯学部有床義歯補綴学講座、3. ほりべ歯科クリニック、4. 東京科学大学大学院医歯学総合研究科高齢者歯科学分野、5. 東京都健康長寿医療センター研究所 自立促進と精神保健研究チーム)
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【目的】
 本学会は2019年に「認知症の人への歯科治療ガイドライン」(GL)を発行し,2017年までのエビデンスに基づくシステマティックレビュ-から認知症患者の歯科治療指針を示している。GLでは義歯の治療方針など補綴歯科治療に関するクリニカルクエスチョン(CQ)が10設定されており1),認知症患者における補綴歯科治療の重要性が示唆されている。一方,エビデンスの強さにおいて効果の推定に確信があるとされる「中」以上に分類されるCQは2項目のみであり,更なるエビデンスの蓄積が望まれる。本研究の目的は,認知症患者の補綴歯科治療に関するGL刊行後の近年の文献を渉猟・分析し,現状の把握と将来の課題を明確にすることである。
【方法】 
 PubMedを使用し,2017年4月から2024年12月までの文献について,GLにおける「認知症患者の歯科補綴治療」の項目で設定されたCQ9-1~9-10について,GLに公表された検索式を用いて文献検索を行った。検索式は一部変更をした。文献については,既存のガイドライン,総説,症例報告は包含し,会議録は除外した。得られた文献については、研究デザインごとに分類した。
【結果と考察】
 合計179文献が抽出された.内訳は,CQ9-1が0編,CQ9-2が4編,CQ9-3が0編,9-4が17編,CQ9-5が56編,CQ9-6が16編,CQ9-7が68編,CQ9-8が0編,CQ9-9が17編,CQ9-10が1編であった。前回のガイドライン出版後にもシステマティックレビュ-などのエビデンスレベルの高い文献が集積される反面,横断研究が多いことから認知症に関連するエビデンスレベルの高い研究デザインが困難であることが推察された.また前回、文献数が少なかったCQは,依然集積が少なく英文による更なるエビデンスの蓄積が望まれる.
(COI 開示:なし)
(倫理審査対象外)
【文献】
1) 日本老年歯科医学会 編.認知症の人への歯科治療ガイドライン.東京:医歯薬出版;2019,107-128.