講演情報
[課題1-4]医科と歯科の2軸で取り組む誤嚥性肺炎治療-退院後も経口摂取できることを目指して-
○木村 将典1,2、中山 渕利2、稲川 元明3、佐藤 麻里4、佐藤 理加子1、多田 瑛1、水谷 早貴1、天埜 皓太1、大塩 茉奈1、大塚 あつ子1、中尾 幸恵1,5、阿部 仁子2、米永 一理2、谷口 裕重1 (1. 朝日大学歯学部 摂食嚥下リハビリテーション学分野、2. 日本大学歯学部 摂食機能療法学講座、3. 高崎総合医療センター 歯科口腔外科、4. 群馬大学医学部付属病院 呼吸器・アレルギー内科、5. 医療法人社団登豊会近石病院 歯科・口腔外科)
【目的】
日本において誤嚥性肺炎は年間約50,000人が死亡している一方,入院後に経口摂取が困難となることも少なくない。経口摂取困難は患者や家族のQOLにも影響するとされ,誤嚥性肺炎は生死に係わる問題だけではないことが分かる。退院時に経口摂取可能となるかは禁食期間の短さが影響すると小山らは報告している一方,超急性期の段階で直接訓練を進めることは肺炎悪化のリスクも懸念され慎重に進めていく必要がある。今回,誤嚥性肺炎患者の摂食状況改善に関する因子を検討し,誤嚥性肺炎加療目的に入院した患者に対して肺炎治療は医科が主治医となると同時に,嚥下リハは歯科が主治医として全例早期から介入するシステムを構築したため報告する。
【方法】
高崎総合医療センターでの先行調査では,誤嚥性肺炎による入院患者118名のうち,入院後初回の嚥下機能評価にて経口摂取が全く困難判断された42名(間接訓練群)と,栄養充足は困難だが直接訓練は可能と判断された28名(直接訓練群)を対象とした。Kuchi-kara Taberu Index(KTBC)を用いて,退院時にFood Oral Intake Scale(FOIS)の改善に係わる因子について検討した。KTBCの各項目を従属変数,退院時の段階においてFOISが初回評価と比較して1以上改善したことを目的変数として単変量解析を行った(p<0.05)。(高崎総合医療センター倫理審査2022-63)(朝日大学病院倫理審査2024-04-03)
【結果・考察】
KTBC全13項目のうち間接訓練群では口腔状態,送り込み,嚥下の3項目,直接訓練群では食べる意欲,口腔状態,食物形態の3項目について有意差が認められた。これらの結果から、口腔状態改善が重要であることが改めて確認された。そこで朝日大学病院において,誤嚥性肺炎加療目的に入院した場合,入院時の段階で主治医が全症例において歯科口腔外科に介入依頼を行うこととした。歯科介入後は嚥下リハについて歯科が主体となって治療にあたり,歯科医師による口腔内診査および嚥下機能評価,歯科衛生士への口腔健康管理指示,STへのリハビリ指示,看護師との情報共有の上での食形態決定までを行っている。退院後、少量でも経口摂取が可能となるように,今後病院歯科において誤嚥性肺炎の入院患者の治療のモデルケースとなるよう活動を続け広めていきたい。(COI開示無し)
日本において誤嚥性肺炎は年間約50,000人が死亡している一方,入院後に経口摂取が困難となることも少なくない。経口摂取困難は患者や家族のQOLにも影響するとされ,誤嚥性肺炎は生死に係わる問題だけではないことが分かる。退院時に経口摂取可能となるかは禁食期間の短さが影響すると小山らは報告している一方,超急性期の段階で直接訓練を進めることは肺炎悪化のリスクも懸念され慎重に進めていく必要がある。今回,誤嚥性肺炎患者の摂食状況改善に関する因子を検討し,誤嚥性肺炎加療目的に入院した患者に対して肺炎治療は医科が主治医となると同時に,嚥下リハは歯科が主治医として全例早期から介入するシステムを構築したため報告する。
【方法】
高崎総合医療センターでの先行調査では,誤嚥性肺炎による入院患者118名のうち,入院後初回の嚥下機能評価にて経口摂取が全く困難判断された42名(間接訓練群)と,栄養充足は困難だが直接訓練は可能と判断された28名(直接訓練群)を対象とした。Kuchi-kara Taberu Index(KTBC)を用いて,退院時にFood Oral Intake Scale(FOIS)の改善に係わる因子について検討した。KTBCの各項目を従属変数,退院時の段階においてFOISが初回評価と比較して1以上改善したことを目的変数として単変量解析を行った(p<0.05)。(高崎総合医療センター倫理審査2022-63)(朝日大学病院倫理審査2024-04-03)
【結果・考察】
KTBC全13項目のうち間接訓練群では口腔状態,送り込み,嚥下の3項目,直接訓練群では食べる意欲,口腔状態,食物形態の3項目について有意差が認められた。これらの結果から、口腔状態改善が重要であることが改めて確認された。そこで朝日大学病院において,誤嚥性肺炎加療目的に入院した場合,入院時の段階で主治医が全症例において歯科口腔外科に介入依頼を行うこととした。歯科介入後は嚥下リハについて歯科が主体となって治療にあたり,歯科医師による口腔内診査および嚥下機能評価,歯科衛生士への口腔健康管理指示,STへのリハビリ指示,看護師との情報共有の上での食形態決定までを行っている。退院後、少量でも経口摂取が可能となるように,今後病院歯科において誤嚥性肺炎の入院患者の治療のモデルケースとなるよう活動を続け広めていきたい。(COI開示無し)