講演情報
[課題1-5]アプリ併用によるオーラルフレイル予防複合プログラムによる行動変容の継続性効果
○田中 美咲1、松尾 浩一郎1、相田 潤2、日髙 玲奈1、三上 理沙子3、小城 明子4、増田 裕次5 (1. 東京科学大学大学院 医歯学総合研究科 地域・福祉口腔機能管理学分野、2. 東京科学大学大学院 医歯学総合研究科 歯科公衆衛生学分野、3. 東京科学大学大学院 医歯学総合研究科 先端材料評価学分野、4. 東京医療保健大学 医療保健学部 医療栄養学科、5. 松本歯科大学 総合歯科医学研究所)
【目的】
ヘルスケアプログラムの社会実装において,継続性検証は重要な課題である。われわれは、アドヒアランス向上のためのLINEポータルアプリを併用した6か月間のオーラルフレイル(OF)予防プログラムを開発した。本研究では、プログラム終了1年後の咀嚼・栄養・口の健康に関する意識変容が維持されているか検証した。
【方法】
対象は、2023年長野県シニア大学3学部の1年生のうち、研究に同意し、プログラム初回時、終了時、終了1年後の調査にすべて参加した84名(初回時平均年齢71.0±5.7歳、男性27名 [32.1%])とした。参加者は月1回、全5回、噛みごたえと栄養に配慮した弁当を食べながら、口腔・咀嚼・栄養に関する講話を受講した。調査では、OFチェックリスト(OFI-8)、食品摂取の多様性スコア(DVS),口腔・栄養・咀嚼に関する行動変容ステージモデル(TTM)の項目を評価した。初回評価時のOFI-8スコアが4以上をOF群,3以下をRobust群とし,両群における各項目の初回から1年後までの変化を統計学的に分析した。
【結果と考察】
OFI-8は,OF群では,咀嚼の項目を中心に初回と比較して終了時で有意に改善し(P =0.004),1年後まで改善が維持されていた(P =0.007)。一方,Robust群では,終了時まで低値だったが(P =0.789),1年後では咀嚼や義歯に関するスコアが増加傾向にあり,合計スコアが有意に増加していた(P =0.013)。DVSスコアは,Robust群では,終了時で改善し(P =0.001),1年後でも維持されていた(P <0.001)。OF群では,初回からDVSスコアが良かったこともあり,1年後まで有意な変化はなかった。TTMについては,咀嚼に関して,Robust群で初回と比して1年後までで有意な改善を認めたが(P = 0.023),OF群では有意差はなかった。また,栄養や口腔に関しては3回での統計学的な有意な変化はなかった。以上の結果より,咀嚼を考慮した複合的オーラルフレイル予防プログラムにより,1年後も咀嚼や栄養への意識変容が継続されることが示唆された。プログラム終了後の行動変容の継続性を高めるための工夫などの検討が必要であると考え,対象者を増やして検討していく予定である。
(COI 開示:なし)
(東京科学大学 歯学系倫理審査委員会承認番号 D2022-001-04)
ヘルスケアプログラムの社会実装において,継続性検証は重要な課題である。われわれは、アドヒアランス向上のためのLINEポータルアプリを併用した6か月間のオーラルフレイル(OF)予防プログラムを開発した。本研究では、プログラム終了1年後の咀嚼・栄養・口の健康に関する意識変容が維持されているか検証した。
【方法】
対象は、2023年長野県シニア大学3学部の1年生のうち、研究に同意し、プログラム初回時、終了時、終了1年後の調査にすべて参加した84名(初回時平均年齢71.0±5.7歳、男性27名 [32.1%])とした。参加者は月1回、全5回、噛みごたえと栄養に配慮した弁当を食べながら、口腔・咀嚼・栄養に関する講話を受講した。調査では、OFチェックリスト(OFI-8)、食品摂取の多様性スコア(DVS),口腔・栄養・咀嚼に関する行動変容ステージモデル(TTM)の項目を評価した。初回評価時のOFI-8スコアが4以上をOF群,3以下をRobust群とし,両群における各項目の初回から1年後までの変化を統計学的に分析した。
【結果と考察】
OFI-8は,OF群では,咀嚼の項目を中心に初回と比較して終了時で有意に改善し(P =0.004),1年後まで改善が維持されていた(P =0.007)。一方,Robust群では,終了時まで低値だったが(P =0.789),1年後では咀嚼や義歯に関するスコアが増加傾向にあり,合計スコアが有意に増加していた(P =0.013)。DVSスコアは,Robust群では,終了時で改善し(P =0.001),1年後でも維持されていた(P <0.001)。OF群では,初回からDVSスコアが良かったこともあり,1年後まで有意な変化はなかった。TTMについては,咀嚼に関して,Robust群で初回と比して1年後までで有意な改善を認めたが(P = 0.023),OF群では有意差はなかった。また,栄養や口腔に関しては3回での統計学的な有意な変化はなかった。以上の結果より,咀嚼を考慮した複合的オーラルフレイル予防プログラムにより,1年後も咀嚼や栄養への意識変容が継続されることが示唆された。プログラム終了後の行動変容の継続性を高めるための工夫などの検討が必要であると考え,対象者を増やして検討していく予定である。
(COI 開示:なし)
(東京科学大学 歯学系倫理審査委員会承認番号 D2022-001-04)