講演情報

[課題2-1]Oral frailty five-item checklistと口腔機能低下症との関連

○田畑 友寛1、畑中 幸子1、寺岡 正譜1、平山 茉奈1、小柳 快1、渋谷 佳奈子1、岡田 遥香1、鈴木 鵬生1、田上 理沙子2、戸田山 直輝2、大森 友花1、古屋 純一1 (1. 昭和医科大学 大学院歯学研究科 口腔機能管理学分野、2. 昭和医科大学 歯学部 口腔健康管理学講座 口腔機能管理学部門)
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【目的】
 高齢者の心身の自立の維持にはフレイル予防・対策が重要であり,そのためのオーラルフレイルの予防と対策が地域で取り組まれている。2024年にはOral frailty five-item checklist(OF-5)が発表され,今後,地域で広く用いられることで,口腔機能低下を有する患者が歯科において口腔機能低下症の検査を受けると推察される。そのため,OF-5はオーラルフレイルの自分事化だけでなく,口腔機能低下症のスクリーニングとしての役割を果たす可能性があるが,両者の関連の解明は十分ではない。OF-5によるセルフチェックと口腔機能低下症の診断の関連を解明し,歯科受診を推奨する指標が明らかになれば,地域におけるオーラルフレイル予防・対策の好循環がより促進されることが期待できる。そこで本研究では,OF-5合計点と口腔機能低下症の診断・検査値との関連を明らかにすることを目的とした。
【方法】
 研究参加者は,某歯科病院にて1回目の口腔機能精密検査を行った外来通院患者421名(平均年齢80.9±6.5歳)とした。年齢,性別,口腔機能精密検査の値,OF-5合計点を診療録から抽出した。OF-5合計点と,口腔機能低下症の診断該当および口腔機能精密検査の各検査値との関連について,ロジスティック回帰分析および重回帰分析により解析した。また,口腔機能低下症検出のためのOF-5のカットオフ値についてROC解析を行った。有意水準は5%とした。
【結果と考察】
 OF-5の合計点は口腔機能低下症の診断該当と年齢・性別を調整しても有意な関連を示した(オッズ比2.54)。また,ROC解析からOF-5は口腔機能低下症の予測能が比較的高く(AUC=0.78),カットオフ値を2点とした場合の感度は0.788,特異度は0.618であった。また,口腔乾燥,咬合力,舌口唇運動機能,舌圧,咀嚼機能,嚥下機能,各検査の該当項目数において,OF-5合計点と有意な関連を示した。以上より,OF-5は口腔機能低下症のスクリーニングとしても有用であり,一方で,口腔衛生はOF-5との関連が薄く,OF-5には含まれない社会性や栄養面等の生活指導と同様に,口腔保健指導の重要性が示唆された。
(COI開示:なし)
(昭和大学 倫理審査委員会承認番号 21-075-B)