講演情報

[課題2-2]サルコペニアと判定された後期高齢者におけるオーラルフレイルと肥満の関連

○早瀬 正生1、三浦 和仁1、尾崎 公哉1、玉田 泰嗣1、渡邊 裕1、白部 麻樹2、本川 佳子2、早川 美知2、平野 浩彦2、小野 高裕3、新井 絵理4、岩崎 正則4、足立 融5、渡部 隆夫5、山崎 裕1 (1. 北海道大学大学院歯学研究院 口腔健康科学分野 高齢者歯科学教室、2. 地方独立行政法人 東京都健康長寿医療センター研究所、3. 大阪歯科大学 高齢者歯科学講座、4. 北海道大学大学院歯学研究院 口腔健康科学分野 予防歯科学教室、5. 一般社団法人 鳥取県歯科医師会)
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【目的】
 オーラルフレイル(OF)とサルコペニアが関連すること,低体重とサルコペニアの併存は口腔機能の低下と関連があることが報告されている。しかし,OFと肥満,サルコペニアとの関連についての報告は認められない。本研究ではサルコペニアと判定された者におけるOFと肥満の関連について検討,さらには低体重との比較をすることを目的に,横断的検討を行った。
【方法】
 2016年から2021年の6年間に鳥取県歯科医師会と後期高齢者医療広域連合が実施した,後期高齢者歯科健診を受診した3829名(男性1489名,女性2340名,平均年齢80.1歳±4.3歳)を分析対象とした。指輪っかテストによるサルコペニアの判定で2群に分け,さらにBMIにより,各群を低体重,健常体重,肥満に分類した。OFは先行研究(Tanaka et al.2018b)を参考に,3項目以上該当した者をOFとした。年齢,性別,食欲(SNAQ),食品摂取の多様性(DVS),服薬数,チャールソン併存疾患指数を共変量とし,各群のOFとの関連を多項ロジスティック回帰分析で検討した。
【結果と考察】
 分析対象者のうち,OF該当者は47.7%(n=1825)であった。サルコペニア群33.4%(n=1280)(低体重19.5%(n=250),健常体重72.9%(n=933),肥満7.6%(n=97)),非サルコペニア群66.6%(n=2549)(低体重4.0%(n=103),健常体重72.9%(n=1859),肥満23.0%(n=587))別にそれぞれ健常体重を基準としてOFとの関連を検討した。サルコペニア群では,低体重(オッズ比:1.443,95%信頼区間:1.066‐1.952),肥満(1.727,1.092‐2.732)ともにOF該当との関連を認めた。一方,非サルコペニア群では,低体重,肥満ともにOF該当との関連は認めなかった。以上の結果から,サルコペニア該当者は,OFが低体重だけでなく肥満とも関連することが明らかになった。今後,サルコペニアと肥満の併存にはOFが関連していることを念頭に,低体重,肥満それぞれに対応したOF対策の必要性が示唆された。
(COI開示:なし)
(倫理審査委員会承認番号:北海道大学大学院歯学研究院臨床・疫学研究倫理2020第6号)