講演情報
[課題2-3]回復期リハビリテーション病棟入棟時の高齢患者の口腔機能,摂食嚥下障害,口腔環境の関連における検討
○齊藤 美都子1、大野 友久2、戸原 玄1 (1. 東京科学大学 大学院医歯学総合研究科 摂食嚥下リハビリテーション学分野、2. 医療法人永寿会陵北病院)
【目的】
急性期を経て回復期リハビリテーション病棟(以下,回リハ病棟)に入棟した高齢者は口腔機能や口腔環境により摂食嚥下障害を有することが多い.回リハ病棟に入棟した脳血管疾患患者と口腔機能低下の検討はあるものの,回リハ病棟に入棟した全疾患の高齢者患者の検討はない.今回,回リハ病棟に入棟する全疾患の高齢患者の口腔機能症,嚥下障害,口腔環境の傾向を調査した.
【方法】
2024年11月から2025年1月に熊谷総合病院回リハ病棟に入棟した65歳以上の患者41名(脳血管疾患:5名,その他:36名)を対象とした.入棟から1週間以内に口腔機能低下症を測定,Oral Health Assessment Tool: OHAT-Jによって口腔を評価した.摂食嚥下障害の有無は診療録より取得しFood Intake LEVEL Scale:FILSを用いて評価した.フィッシャーの正確確率検定によりそれぞれの関連性を分析し,関連がある場合は対応のないt検定とMann-WhitneyのU検定を行い測定値に差があるか検討した.有意水準は0.05とした.
【結果と考察】
口腔機能低下症有病者は30名(76%),摂食嚥下障害者は25名(63%),OHAT-Jで2の評価を1項目以上受けた患者は15名(39%)であった.口腔機能低下症測定項目で最も評価基準を満たさなかった患者が多い項目は30名(73%)が該当した咬合力であった.今回OHAT-Jの該当者が15名であったが,OHAT-Jには咬合関係の評価がなく,咬合力の有病率が多いことより口腔環境に問題を抱えている患者は39%より多いと考える.また,口腔機能低下症と摂食嚥下障害有無が関連した.嚥下障害が有る群と無い群では,口腔衛生と舌圧に有意差を認めた.
口腔機能低下症,摂食嚥下障害有病者,OHAT-Jの評価2いずれかに該当した患者は34名(83%)であり,8割以上の患者が歯科の介入が必要であり,回リハ病棟での歯科介入の必要性が示唆された.また,口腔機能低下症と嚥下障害の有無が関連することより,早期に口腔機能の低下を評価し,その機能を維持,向上する必要がある.今後は,回リハ病棟に歯科が介入したことによって得られる効果を示していく必要があると考える.
(COI 開示:なし)
(東京科学大学 歯学部倫理審査委員会承認 D2023-069)
急性期を経て回復期リハビリテーション病棟(以下,回リハ病棟)に入棟した高齢者は口腔機能や口腔環境により摂食嚥下障害を有することが多い.回リハ病棟に入棟した脳血管疾患患者と口腔機能低下の検討はあるものの,回リハ病棟に入棟した全疾患の高齢者患者の検討はない.今回,回リハ病棟に入棟する全疾患の高齢患者の口腔機能症,嚥下障害,口腔環境の傾向を調査した.
【方法】
2024年11月から2025年1月に熊谷総合病院回リハ病棟に入棟した65歳以上の患者41名(脳血管疾患:5名,その他:36名)を対象とした.入棟から1週間以内に口腔機能低下症を測定,Oral Health Assessment Tool: OHAT-Jによって口腔を評価した.摂食嚥下障害の有無は診療録より取得しFood Intake LEVEL Scale:FILSを用いて評価した.フィッシャーの正確確率検定によりそれぞれの関連性を分析し,関連がある場合は対応のないt検定とMann-WhitneyのU検定を行い測定値に差があるか検討した.有意水準は0.05とした.
【結果と考察】
口腔機能低下症有病者は30名(76%),摂食嚥下障害者は25名(63%),OHAT-Jで2の評価を1項目以上受けた患者は15名(39%)であった.口腔機能低下症測定項目で最も評価基準を満たさなかった患者が多い項目は30名(73%)が該当した咬合力であった.今回OHAT-Jの該当者が15名であったが,OHAT-Jには咬合関係の評価がなく,咬合力の有病率が多いことより口腔環境に問題を抱えている患者は39%より多いと考える.また,口腔機能低下症と摂食嚥下障害有無が関連した.嚥下障害が有る群と無い群では,口腔衛生と舌圧に有意差を認めた.
口腔機能低下症,摂食嚥下障害有病者,OHAT-Jの評価2いずれかに該当した患者は34名(83%)であり,8割以上の患者が歯科の介入が必要であり,回リハ病棟での歯科介入の必要性が示唆された.また,口腔機能低下症と嚥下障害の有無が関連することより,早期に口腔機能の低下を評価し,その機能を維持,向上する必要がある.今後は,回リハ病棟に歯科が介入したことによって得られる効果を示していく必要があると考える.
(COI 開示:なし)
(東京科学大学 歯学部倫理審査委員会承認 D2023-069)