講演情報

[SY6-2]歯科オンライン診療に関する国の動向

○小嶺 祐子1 (1. 厚生労働省医政局歯科保健課)
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【略歴】
2000年 東北大学 歯学部 卒業
2006年 東北大学大学院歯学研究科博士課程 修了
2008年 東北大学大学大学院歯学研究科加齢歯科学分野 助教
2011年 厚生労働省入省
2016年 厚生労働省 保険局医療課 課長補佐
2018年 厚生労働省 医政局歯科保健課 課長補佐
2021年7月 厚生労働省 医政局歯科保健課歯科口腔保健推進室 室長
2023年1月 厚生労働省 保険局医療課 歯科医療管理官
2024年6月 厚生労働省 医政局歯科保健課 課長
オンライン診療に関する考え方を遡ると、遠隔医療のうち、医師又は歯科医師と患者間で実施されるオンライン診療については、これが適切に実施される限りにおいて、無診察治療等を禁じている医師法(昭和23年法律第201号)第20条及び歯科医師法(昭和23年法律第202号)第20条に抵触しないことを平成9年の旧厚生省健康政策局長通知等において示されている。
 その後、医師については働き方改革の視点などもあり、オンライン診療の活用に関する議論がなされ、平成30年3月に、「オンライン診療の適切な実施に関する指針」(以下、「オンライン診療指針」とする。)の初版が公表されたが、当時は歯科領域におけるオンライン診療はまだ検討されておらず、当該指針の対象には歯科におけるオンライン診療は含まれていなかった。平成31年1月には「オンライン診療の適切な実施に関する指針の見直しに関する検討会」が設置され、オンライン診療指針の見直しの議論が開始された際に、第3回(平成31年3月)では歯科医師によるオンライン診療も議題の一つにあげられ、継続的な口腔機能管理におけるオンライン診療の活用についても議論されたが、当時は時期尚早ということでオンライン診療指針における歯科領域の記載は見送られた。
 このため当初、オンライン診療は基本的に医科を対象とし、かつ対象はある程度限られものとして実施されてきたが、新型コロナウイルスの感染拡大により医療機関を受診することが困難となった患者等に対する医療提供手段としてオンライン診療を活用する観点から、医科を対象に令和2年4月10日にオンライン診療の時限的・特例的な取扱いが示され。一方、歯科診療についても医科から2週間後の令和2年4月24日付で同様に時限的・特例的な取扱いに関する事務連絡を発出し、オンライン診療が可能となった。これにより歯科領域でもオンライン診療の活用が検討されるようになり、令和3年11月には厚生労働省に「ICTを活用した歯科診療等に関する検討会」を設置し、令和6年3月には報告書とその別添として「歯科におけるオンライン診療の適切な実施に関する指針」を公表したところである。また、あわせて令和6年診療報酬改定においても歯科オンライン診療に関する評価がなされ、対象が限られるが保険診療でもオンライン診療が実施可能となった。
 本シンポジウムでは、歯科オンライン診療に関するこれまでの国の動きや議論の状況などをご紹介させていただくとともに、今後の更なる活用の可能性について先生方とディスカッションさせていただきたい。