講演情報
[優秀P衛生-3]歯科標榜のない病院歯科衛生士を中心に口腔と栄養の管理を行い食思不振とADLが改善した症例
○平方 穂子1、三輪 俊太2,3、中島 淳子2 (1. 医療法人 和光会 山田病院、2. 医療法人社団 恵眞会 Ihana歯科岐阜、3. 大阪大学大学院歯学研究科有床義歯補綴学・高齢者歯科学講座)
【緒言・目的】
近年、リハビリテーション、栄養管理及び口腔管理の連携が注目されている。特に歯科標榜のない病院では他職種が口腔管理を担うことが多く課題が山積している。今回、歯科標榜のない回復期リハビリテーション病棟専任歯科衛生士が口腔健康管理を行い、歯科診療所や管理栄養士と連携し、食思不振の改善とADL向上に貢献した症例を報告する。
【症例および経過】
71歳女性、フィッシャー症候群によるリハビリテーション目的で入院。身長156cm、体重56.9kg、BMI23.38kg/m²。エネルギー1290kcal、食事形態は全粥、軟菜食の低残渣食を提供。GLIM基準では低栄養非該当だが、血清アルブミン値2.4g/dl、下腿周囲長31.5cm、FIM評価49点と栄養状態やADLの低下を認めた。第1病日、歯科衛生士による口腔アセスメントを実施。上顎義歯不適合、下顎臼歯部欠損、残根、口唇周囲の痺れ感を確認した。食思不振の要因は咬合支持の喪失により好きな食事が摂れないこと、食後の嘔吐の経験による精神的ストレスと考え、歯科医師と管理栄養士の介入が必要と判断した。管理栄養士は精神的ストレスを軽減するため、安心感を得られるような食事形態を考案し支援を開始した。第8病日、歯科訪問診療を開始、咬合力37.0N、咀嚼能力検査は測定不可であった。第54病日には抜歯、義歯装着が完了し、咬合力227.0N、咀嚼能力検査165.0mg/dlと改善を認めた。歯科衛生士による口腔健康管理と歯科医師による口腔機能評価を、リハビリテーションの進歩状況と照らし合わせ食事内容を調整した結果、常食への移行が可能となり食思不振も改善された。第81病日には体重60.8kg、BMI24.98kg/m²、血清アルブミン値3.2g/dl、FIM評価119点へと栄養状態およびADLが向上した。「リハビリ中に噛み締めることで力が出る」と患者が述べるほど前向きな変化が見られた。本報告の発表について患者本人から同意を得ている。
【考察】
本症例では、歯科衛生士が中心となり管理栄養士および歯科医師との連携を推進することで、食思不振が改善しリハビリテーション効果の向上が見られた。歯科衛生士が多職種と連携し患者の口腔情報を共有しながら支援を行うことで、栄養状態およびADLが改善し包括的な支援の有用性が確認された。
(COI開示なし)(倫理審査対象外)
近年、リハビリテーション、栄養管理及び口腔管理の連携が注目されている。特に歯科標榜のない病院では他職種が口腔管理を担うことが多く課題が山積している。今回、歯科標榜のない回復期リハビリテーション病棟専任歯科衛生士が口腔健康管理を行い、歯科診療所や管理栄養士と連携し、食思不振の改善とADL向上に貢献した症例を報告する。
【症例および経過】
71歳女性、フィッシャー症候群によるリハビリテーション目的で入院。身長156cm、体重56.9kg、BMI23.38kg/m²。エネルギー1290kcal、食事形態は全粥、軟菜食の低残渣食を提供。GLIM基準では低栄養非該当だが、血清アルブミン値2.4g/dl、下腿周囲長31.5cm、FIM評価49点と栄養状態やADLの低下を認めた。第1病日、歯科衛生士による口腔アセスメントを実施。上顎義歯不適合、下顎臼歯部欠損、残根、口唇周囲の痺れ感を確認した。食思不振の要因は咬合支持の喪失により好きな食事が摂れないこと、食後の嘔吐の経験による精神的ストレスと考え、歯科医師と管理栄養士の介入が必要と判断した。管理栄養士は精神的ストレスを軽減するため、安心感を得られるような食事形態を考案し支援を開始した。第8病日、歯科訪問診療を開始、咬合力37.0N、咀嚼能力検査は測定不可であった。第54病日には抜歯、義歯装着が完了し、咬合力227.0N、咀嚼能力検査165.0mg/dlと改善を認めた。歯科衛生士による口腔健康管理と歯科医師による口腔機能評価を、リハビリテーションの進歩状況と照らし合わせ食事内容を調整した結果、常食への移行が可能となり食思不振も改善された。第81病日には体重60.8kg、BMI24.98kg/m²、血清アルブミン値3.2g/dl、FIM評価119点へと栄養状態およびADLが向上した。「リハビリ中に噛み締めることで力が出る」と患者が述べるほど前向きな変化が見られた。本報告の発表について患者本人から同意を得ている。
【考察】
本症例では、歯科衛生士が中心となり管理栄養士および歯科医師との連携を推進することで、食思不振が改善しリハビリテーション効果の向上が見られた。歯科衛生士が多職種と連携し患者の口腔情報を共有しながら支援を行うことで、栄養状態およびADLが改善し包括的な支援の有用性が確認された。
(COI開示なし)(倫理審査対象外)