講演情報
[優秀P地域-3]後期高齢者のBMI低値と主観的咀嚼能力低下が要介護認定に及ぼす影響(後方視的観察研究)-第2報-
○齋藤 寿章1,2、富永 一道1,2、清水 潤1、前田 憲邦1、井上 幸夫1、矢野 彰三2,3 (1. 一般社団法人島根県歯科医師会、2. 島根大学地域包括ケア教育研究センター、3. 島根大学医学部臨床検査医学講座)
【目的】
第35回本学術大会で後期高齢者のBMI低値と主観的咀嚼能力低下について後期高齢者健診指標を共変量に加え要介護認定(要支援以上)への影響を示した。今回の研究目的は健診前のKDB傷病名を既往歴として共変量に追加しBMIと主観的咀嚼能力が要介護認定に及ぼす影響について縦断的・探索的に検討することである。
【方法】
調査対象は令和2年度島根県後期高齢者健診(医科)を受診した28204名。解析対象は健診時年齢75歳未満の者,要介護認定者,欠損値がある者を除外した19722名(男性7722名39%/女性12000名61%)とした。観察期間は令和2年4月1日から令和4年3月31日,追跡期間は健診日から初回の要介護認定日までの時間(月単位)とした。要介護認定をイベントとし観察期間中の死亡・転出・生活保護移行・観察終了時の生存を打ち切りとした。BMIをBMI低値(≤20)/BMI低値非該当の2値,主観的咀嚼能力を噛める/噛めないの2値にカテゴリ化した。BMI低値かつ噛めない群,BMI低値かつ噛める群,BMI低値非該当かつ噛めない群, BMI低値非該当かつ噛める群(基準群)のBMI・咀嚼4群に分類し生存時間解析を行った。比例ハザード性が確認できた健診指標(血液・尿データ除く)を共変量に加え多変量調整Cox比例ハザードモデルを用いた解析を行った。更にモデル内の関心指標以外の基本属性・健診指標・既往歴から求めた傾向スコアを共変量に加えたCox比例ハザードモデルを用いてハザード比(HR)と集団寄与危険割合(PAF)を検討した。
【結果と考察】
追跡期間は平均16.9月(最大23.0月),要介護認定者数は1892名(男性666名35%/女性1226名65%)であった。BMI・咀嚼4群のKaplan-Meier法によるlog-rank検定は有意でBMI低値かつ噛めない群で要介護認定が最も多かった。多変量調整Cox比例ハザードモデルのBMI低値かつ噛めない群のHRは1.29(95%CI:1.10-1.51)であった。傾向スコア調整後の同群のHRは1.44(95%CI:1.23-1.69),PAFは3.45%であった。痩せで噛めない者は介護認定と関連したが痩せでも噛める者では関連はなかった。他のPAFとも比較し介護予防への寄与を考察する。
(COI開示なし 島根大学倫理委員会承認番号20220723-1)
第35回本学術大会で後期高齢者のBMI低値と主観的咀嚼能力低下について後期高齢者健診指標を共変量に加え要介護認定(要支援以上)への影響を示した。今回の研究目的は健診前のKDB傷病名を既往歴として共変量に追加しBMIと主観的咀嚼能力が要介護認定に及ぼす影響について縦断的・探索的に検討することである。
【方法】
調査対象は令和2年度島根県後期高齢者健診(医科)を受診した28204名。解析対象は健診時年齢75歳未満の者,要介護認定者,欠損値がある者を除外した19722名(男性7722名39%/女性12000名61%)とした。観察期間は令和2年4月1日から令和4年3月31日,追跡期間は健診日から初回の要介護認定日までの時間(月単位)とした。要介護認定をイベントとし観察期間中の死亡・転出・生活保護移行・観察終了時の生存を打ち切りとした。BMIをBMI低値(≤20)/BMI低値非該当の2値,主観的咀嚼能力を噛める/噛めないの2値にカテゴリ化した。BMI低値かつ噛めない群,BMI低値かつ噛める群,BMI低値非該当かつ噛めない群, BMI低値非該当かつ噛める群(基準群)のBMI・咀嚼4群に分類し生存時間解析を行った。比例ハザード性が確認できた健診指標(血液・尿データ除く)を共変量に加え多変量調整Cox比例ハザードモデルを用いた解析を行った。更にモデル内の関心指標以外の基本属性・健診指標・既往歴から求めた傾向スコアを共変量に加えたCox比例ハザードモデルを用いてハザード比(HR)と集団寄与危険割合(PAF)を検討した。
【結果と考察】
追跡期間は平均16.9月(最大23.0月),要介護認定者数は1892名(男性666名35%/女性1226名65%)であった。BMI・咀嚼4群のKaplan-Meier法によるlog-rank検定は有意でBMI低値かつ噛めない群で要介護認定が最も多かった。多変量調整Cox比例ハザードモデルのBMI低値かつ噛めない群のHRは1.29(95%CI:1.10-1.51)であった。傾向スコア調整後の同群のHRは1.44(95%CI:1.23-1.69),PAFは3.45%であった。痩せで噛めない者は介護認定と関連したが痩せでも噛める者では関連はなかった。他のPAFとも比較し介護予防への寄与を考察する。
(COI開示なし 島根大学倫理委員会承認番号20220723-1)