講演情報
[優秀P一般-4]高齢嚥下障害患者の呼吸訓練は嚥下機能と横隔膜機能を改善させるか
○真山 達也1、吉見 佳那子1、中川 量晴1、堀家 彩音1、齋藤 美都子1、八尾 有紀1、山口 浩平1、戸原 玄1 (1. 東京科学大学摂食嚥下リハビリテーション学分野)
【目的】
嚥下機能と呼吸機能は密接に関連し、さらに嚥下筋は体幹筋とも関連する。体幹筋のうち、横隔膜は姿勢の安定などの体幹機能に寄与する重要な筋である。かつ主呼吸筋であり、呼吸時には筋収縮しドーム状となり咳嗽や発声に関わる。脳卒中患者やパーキンソン病患者に対する呼気抵抗負荷訓練が嚥下機能と呼吸機能を改善することや、COPD患者に対する吸気筋抵抗負荷訓練が横隔膜機能を向上させることが報告されている。しかし、生活期の嚥下障害患者を対象として、呼吸訓練が嚥下機能と横隔膜機能に与える影響を検討した研究はない。本研究は軽度嚥下障害を有する高齢患者を対象とし、呼吸訓練器具を用いた訓練で嚥下機能、および横隔膜機能が改善するかを検討した。
【方法】
本研究は本学医学部総合診療科との共同研究である。本学病院摂食嚥下リハビリテーション科を受診した65歳以上の軽度嚥下障害患者6名(男性6名、年齢中央値75.5歳、Functional Oral Intake Scale中央値5.5)を対象とし、呼吸訓練器具ドフィン(オート(株))を用いた吸気・呼気訓練を指導した。各訓練は1日30回、週3~5回、4週間実施した。訓練開始前後の嚥下造影検査の結果より、水分摂取時の嚥下機能を8-point Penetration-Aspiration Scale(PAS)で評価した。呼吸機能は、オートスパイロメータによる呼吸機能検査に加え、超音波装置で安静時の横隔膜の厚さ(mm)と、平常時および最大吸気時の横隔膜のドーム可動域(mm)を計測した。訓練前後の測定値を統計学的に解析した。
【結果と考察】
PASは、訓練前の中央値2(1-8)から訓練後1.5(1-5)に有意に改善した(p = 0.04)。平常呼吸時の横隔膜のドーム可動域は、訓練前の中央値19.5mmから訓練後24.5mmに有意に増加した(p = 0.03)。呼吸訓練により舌骨上筋群の筋力が向上することが報告されているが、呼吸筋の増強による横隔膜機能の改善は誤嚥物の喀出能力向上にもつながり、訓練後に嚥下機能が向上したと推測された。
(COI開示:なし)
(東京科学大学医学系倫理審査委員会承認 M2022-293)
嚥下機能と呼吸機能は密接に関連し、さらに嚥下筋は体幹筋とも関連する。体幹筋のうち、横隔膜は姿勢の安定などの体幹機能に寄与する重要な筋である。かつ主呼吸筋であり、呼吸時には筋収縮しドーム状となり咳嗽や発声に関わる。脳卒中患者やパーキンソン病患者に対する呼気抵抗負荷訓練が嚥下機能と呼吸機能を改善することや、COPD患者に対する吸気筋抵抗負荷訓練が横隔膜機能を向上させることが報告されている。しかし、生活期の嚥下障害患者を対象として、呼吸訓練が嚥下機能と横隔膜機能に与える影響を検討した研究はない。本研究は軽度嚥下障害を有する高齢患者を対象とし、呼吸訓練器具を用いた訓練で嚥下機能、および横隔膜機能が改善するかを検討した。
【方法】
本研究は本学医学部総合診療科との共同研究である。本学病院摂食嚥下リハビリテーション科を受診した65歳以上の軽度嚥下障害患者6名(男性6名、年齢中央値75.5歳、Functional Oral Intake Scale中央値5.5)を対象とし、呼吸訓練器具ドフィン(オート(株))を用いた吸気・呼気訓練を指導した。各訓練は1日30回、週3~5回、4週間実施した。訓練開始前後の嚥下造影検査の結果より、水分摂取時の嚥下機能を8-point Penetration-Aspiration Scale(PAS)で評価した。呼吸機能は、オートスパイロメータによる呼吸機能検査に加え、超音波装置で安静時の横隔膜の厚さ(mm)と、平常時および最大吸気時の横隔膜のドーム可動域(mm)を計測した。訓練前後の測定値を統計学的に解析した。
【結果と考察】
PASは、訓練前の中央値2(1-8)から訓練後1.5(1-5)に有意に改善した(p = 0.04)。平常呼吸時の横隔膜のドーム可動域は、訓練前の中央値19.5mmから訓練後24.5mmに有意に増加した(p = 0.03)。呼吸訓練により舌骨上筋群の筋力が向上することが報告されているが、呼吸筋の増強による横隔膜機能の改善は誤嚥物の喀出能力向上にもつながり、訓練後に嚥下機能が向上したと推測された。
(COI開示:なし)
(東京科学大学医学系倫理審査委員会承認 M2022-293)