講演情報
[BS]歯科訪問診療における多職種連携 ─6つのコンピテンシーと歯科に求められる立ち振る舞い─
○三輪 俊太1,2,3 (1. Ihana歯科岐阜、2. Ihana歯科北浜、3. 大阪大学大学院歯学研究科有床義歯補綴学・高齢者歯科学講座)

【略歴】
2011年 大阪大学歯学部卒業。2015年 同大学院博士課程修了、歯学博士。大阪大学大学院歯学研究科 有床義歯補綴学・高齢者歯科学講座にて補綴学および高齢者歯科学を専攻。大阪大学歯学部附属病院 咀嚼補綴科、JAみなみ信州歯科診療所 訪問医長を経て、2020年 三輪歯科医院を継承。現在、医療法人社団恵眞会理事長、Ihana訪問歯科グループ 代表として3医院を運営。大阪大学大学院歯学研究科 委嘱講師、同歯学部附属病院 顎口腔機能治療部 研修登録医。日本補綴歯科学会専門医、日本老年歯科医学会認定医、日本摂食嚥下リハビリテーション学会、日本在宅医療連合学会所属。
2011年 大阪大学歯学部卒業。2015年 同大学院博士課程修了、歯学博士。大阪大学大学院歯学研究科 有床義歯補綴学・高齢者歯科学講座にて補綴学および高齢者歯科学を専攻。大阪大学歯学部附属病院 咀嚼補綴科、JAみなみ信州歯科診療所 訪問医長を経て、2020年 三輪歯科医院を継承。現在、医療法人社団恵眞会理事長、Ihana訪問歯科グループ 代表として3医院を運営。大阪大学大学院歯学研究科 委嘱講師、同歯学部附属病院 顎口腔機能治療部 研修登録医。日本補綴歯科学会専門医、日本老年歯科医学会認定医、日本摂食嚥下リハビリテーション学会、日本在宅医療連合学会所属。
超高齢社会の進展に伴い、歯科訪問診療の現場では、医師、看護師、管理栄養士、言語聴覚士、介護支援専門員をはじめとする多職種との連携が日常となった。しかし「連携が大切である」と語られる一方、現場では何をどこまで行えば連携と呼べるのか、なぜうまくいかないのかが言語化されないまま、属人的な関係構築に委ねられている面も少なくない。本セミナーは、歯科訪問診療における多職種連携をコンピテンシーの枠組みで捉え直し、歯科専門職が現場でどのように立ち振る舞うべきかを共有することを目的とする。枠組みとしては、春田らが開発した日本版の多職種連携コンピテンシー(Haruta et al., 2018)を参照する。本コンピテンシーは、①患者・利用者・家族・コミュニティ中心、②職種間コミュニケーションという2つのコア・ドメインと、これを支える③職種としての役割を全うする、④関係性に働きかける、⑤自職種を省みる、⑥他職種を理解するの4ドメインから構成されている。西欧諸国と比較して「関係性に働きかける能力」が独立した領域として明示されている点に特徴があり、日本の医療・介護現場における文化的・制度的背景が反映されているとされる。その後、この枠組みに基づく自己評価尺度JASSICも開発され、個人・組織が連携コンピテンシーを多面的に振り返る基盤が整いつつある。加えて、令和4年度に改訂された医学・歯学・薬学教育モデル・コア・カリキュラムには、多職種連携能力が共通項目として組み込まれ、卒前教育の段階から体系的な習得が求められる資質・能力となっている。本セミナーでは、この6つのドメインを歯科訪問診療の文脈に沿って解説し、各ドメインにおいて歯科専門職に求められる具体的な立ち振る舞いを提示する。患者の「食べる」を共通目標とした目的設定、共通言語としての全身疾患・摂食嚥下の知識、歯科としての専門性の発揮、葛藤への対応、自職種の常識を問い直す姿勢、他職種の判断軸やガイドラインへの理解など、訪問診療の現場で求められる具体を、ドメインごとに整理したい。とりわけ職種間コミュニケーションに関しては、情報共有の効率化を支えるデジタル基盤の活用と、信頼関係の構築に欠かせないアナログな人間関係づくりを両輪として捉え、両者のバランスをどう設計するかという視点からも論じたい。多職種連携は、単なる情報交換や役割分担の技術ではなく、患者の生活と価値観を中心に据えたうえで、各専門職が自らの専門性を発揮しつつ、同時に相手の枠組みを理解し合う総合的な力として現れる。ベーシックセミナーという位置づけをふまえ、訪問歯科に取り組み始めた歯科医師、歯科衛生士、あるいはこれから関わろうとする参加者が、明日からの立ち振る舞いに持ち帰ることのできる視点を提供することを目指す。
