講演情報
[認定P-1]定期評価により口腔および身体機能低下の進行を把握し,高齢者の自立支援を補助した症例
○小貫 和佳奈1、伊藤 加代子2 (1. 新潟大学医歯学総合病院 摂食嚥下機能回復部、2. 新潟大学医歯学総合病院 口腔リハビリテーション科)
【緒言・目的】
高齢者の口腔機能は身体機能と密接に関連し,ライフステージに応じた口腔機能管理が求められる。今回,口腔および身体機能低下の進行を把握し,高齢者の自立支援を補助できた1例を経験したので報告する。
【症例および経過】
83歳女性,X-2年に転倒による頭部外傷で当院救急外来に受診歴あり。要支援2で通所リハビリテーションを利用中。X年8月に上顎義歯不適合と下顎前歯部Br脱離を主訴に当院歯科外来を初診。口腔機能精密検査では舌口唇運動機能と舌圧の2項目に低下を認め,口腔機能低下症は非該当であった。同時に実施した改訂J-CHS基準およびAWGS2019に基づくフレイル,サルコペニアの評価では,体重減少のみ認めプレフレイルであった。頻回に転倒するとのことだったが,滑り止めのない不適切な歩行杖を使用しており,介護福祉サービスへの相談を勧めた。当科は1年後に口腔・身体機能の再評価を予定し,義歯科での歯科治療のみ継続された。X+1年9月の再評価では咬合力,舌口唇運動機能,舌圧の3項目に低下を認め,口腔機能低下症に該当,月1回の口腔機能の訓練指導を開始した。また倦怠感および握力低下を認め,プレフレイルおよびサルコペニアであった。X+1年12月に転倒で頭部を打撲した。不適切な歩行杖の使用は改善されておらず,再度適切な杖使用の必要性を説明したところ,自身で通所リハビリテーションの理学療法士に依頼し,T字杖を使用開始された。X+2年7月に腰椎圧迫骨折され,体調の落ち着いたX+3年1月の再評価では,咬合力のみ低下を認め口腔機能低下症は非該当,身体機能はロバストとなった。T字杖の使用開始以降に転倒はなく,口腔機能の訓練指導を継続している。本報告の発表には患者本人から文書による同意を得ている。
【考察】
当院では口腔機能低下症に非該当患者に対して,1年おきに口腔・身体機能を再評価する機会を設けている。本症例は定期評価により口腔・身体機能低下を把握し,口腔機能の改善および転倒リスクに対応できた。口腔機能低下症の該当患者には毎月の口腔機能管理と6か月ごとの口腔機能精密検査が推奨されているが,非該当患者への対応も検討が必要である。歯科受診時に,口腔機能だけでなく身体機能も評価することで,健康寿命の延伸にさらに寄与する可能性が考えられた。
(COI開示:なし)
(倫理審査対象外)
高齢者の口腔機能は身体機能と密接に関連し,ライフステージに応じた口腔機能管理が求められる。今回,口腔および身体機能低下の進行を把握し,高齢者の自立支援を補助できた1例を経験したので報告する。
【症例および経過】
83歳女性,X-2年に転倒による頭部外傷で当院救急外来に受診歴あり。要支援2で通所リハビリテーションを利用中。X年8月に上顎義歯不適合と下顎前歯部Br脱離を主訴に当院歯科外来を初診。口腔機能精密検査では舌口唇運動機能と舌圧の2項目に低下を認め,口腔機能低下症は非該当であった。同時に実施した改訂J-CHS基準およびAWGS2019に基づくフレイル,サルコペニアの評価では,体重減少のみ認めプレフレイルであった。頻回に転倒するとのことだったが,滑り止めのない不適切な歩行杖を使用しており,介護福祉サービスへの相談を勧めた。当科は1年後に口腔・身体機能の再評価を予定し,義歯科での歯科治療のみ継続された。X+1年9月の再評価では咬合力,舌口唇運動機能,舌圧の3項目に低下を認め,口腔機能低下症に該当,月1回の口腔機能の訓練指導を開始した。また倦怠感および握力低下を認め,プレフレイルおよびサルコペニアであった。X+1年12月に転倒で頭部を打撲した。不適切な歩行杖の使用は改善されておらず,再度適切な杖使用の必要性を説明したところ,自身で通所リハビリテーションの理学療法士に依頼し,T字杖を使用開始された。X+2年7月に腰椎圧迫骨折され,体調の落ち着いたX+3年1月の再評価では,咬合力のみ低下を認め口腔機能低下症は非該当,身体機能はロバストとなった。T字杖の使用開始以降に転倒はなく,口腔機能の訓練指導を継続している。本報告の発表には患者本人から文書による同意を得ている。
【考察】
当院では口腔機能低下症に非該当患者に対して,1年おきに口腔・身体機能を再評価する機会を設けている。本症例は定期評価により口腔・身体機能低下を把握し,口腔機能の改善および転倒リスクに対応できた。口腔機能低下症の該当患者には毎月の口腔機能管理と6か月ごとの口腔機能精密検査が推奨されているが,非該当患者への対応も検討が必要である。歯科受診時に,口腔機能だけでなく身体機能も評価することで,健康寿命の延伸にさらに寄与する可能性が考えられた。
(COI開示:なし)
(倫理審査対象外)
