講演情報
[認定P-4]多疾患併存の後期高齢者における補綴治療後の口腔機能管理の一例
○栗原 崇實1、井上 太郎1、川本 章代1、髙橋 一也1 (1. 大阪歯科大学 高齢者歯科学講座)
【緒言・目的】
当患者は「義歯が合わず,咀嚼が困難である」を主訴に来院した。高齢者における咀嚼障害は低栄養やフレイル進行に関与するため,補綴的介入に加え口腔機能の評価が重要である。本症例では,薬剤関連顎骨壊死発症リスクが高く抜歯回避が必要と判断された患者に対し,残根上義歯を応用した補綴治療と口腔機能低下症への対応を行ったため,その概要を報告する。
【症例および経過】
初診時,咀嚼能率スコア法ではスコア2,グルコース溶出量による咀嚼能率検査では56 mg/dLであった。急激な体重減少はなく,「義歯不適合による咀嚼障害」と診断した。欠損部位は#17-26,#37-35であった。歯周基本治療後,#27は残根状に形態修正を行った。#34,44-47にはう蝕処置及び歯冠補綴処置を行った。その後,上顎は#17-27に残根上義歯,下顎は#37-35に部分床義歯を装着した。治療期間中に脳梗塞を発症し軽度の発語障害を認めたため,内科担当医と再度対診を行ったが,全身状態に関して特記すべき問題はなかった。最終補綴後,咀嚼能率スコア法は6,グルコース溶出量は269 mg/dLとなり,咀嚼機能の明らかな改善を認めた。術後1年経過時点においても,口腔清掃および義歯の着脱は自立して可能であった。将来的な全身状態変化による通院困難を考慮し,家族に対して口腔衛生管理指導を実施した。治療終了後のBIは70点(ADL評価)であった。口腔機能低下症の評価では,①舌苔付着度(TCI)50%,②口腔水分量25.5,③咬合力520 N,④オーラルディアドコキネシスは「パ」4.2回/秒,「タ」3.6回/秒,「カ」4.0回/秒,⑤舌圧12.3 kPa,⑥咀嚼能率269 mg/dL,⑦EAT-10は8点であった。基準値を下回る項目に対して,口唇・舌の運動訓練および嚥下機能に対する間接訓練を実施し,経過観察を行っている。
【考察】
補綴治療により咀嚼障害は改善したが,口腔機能低下が認められた。高齢者歯科においては主訴改善にとどまらず,低栄養およびフレイル予防の観点から,口腔機能の継続的な評価と介入が重要であると考えられた。(COI開示:なし)(倫理審査対象外)(患者の同意を得た)
当患者は「義歯が合わず,咀嚼が困難である」を主訴に来院した。高齢者における咀嚼障害は低栄養やフレイル進行に関与するため,補綴的介入に加え口腔機能の評価が重要である。本症例では,薬剤関連顎骨壊死発症リスクが高く抜歯回避が必要と判断された患者に対し,残根上義歯を応用した補綴治療と口腔機能低下症への対応を行ったため,その概要を報告する。
【症例および経過】
初診時,咀嚼能率スコア法ではスコア2,グルコース溶出量による咀嚼能率検査では56 mg/dLであった。急激な体重減少はなく,「義歯不適合による咀嚼障害」と診断した。欠損部位は#17-26,#37-35であった。歯周基本治療後,#27は残根状に形態修正を行った。#34,44-47にはう蝕処置及び歯冠補綴処置を行った。その後,上顎は#17-27に残根上義歯,下顎は#37-35に部分床義歯を装着した。治療期間中に脳梗塞を発症し軽度の発語障害を認めたため,内科担当医と再度対診を行ったが,全身状態に関して特記すべき問題はなかった。最終補綴後,咀嚼能率スコア法は6,グルコース溶出量は269 mg/dLとなり,咀嚼機能の明らかな改善を認めた。術後1年経過時点においても,口腔清掃および義歯の着脱は自立して可能であった。将来的な全身状態変化による通院困難を考慮し,家族に対して口腔衛生管理指導を実施した。治療終了後のBIは70点(ADL評価)であった。口腔機能低下症の評価では,①舌苔付着度(TCI)50%,②口腔水分量25.5,③咬合力520 N,④オーラルディアドコキネシスは「パ」4.2回/秒,「タ」3.6回/秒,「カ」4.0回/秒,⑤舌圧12.3 kPa,⑥咀嚼能率269 mg/dL,⑦EAT-10は8点であった。基準値を下回る項目に対して,口唇・舌の運動訓練および嚥下機能に対する間接訓練を実施し,経過観察を行っている。
【考察】
補綴治療により咀嚼障害は改善したが,口腔機能低下が認められた。高齢者歯科においては主訴改善にとどまらず,低栄養およびフレイル予防の観点から,口腔機能の継続的な評価と介入が重要であると考えられた。(COI開示:なし)(倫理審査対象外)(患者の同意を得た)
