講演情報

[認定P-5]左側舌癌術後に経口摂取が難渋した症例

○水谷 早貴1、谷口 裕重1 (1. 朝日大学歯学部 摂食嚥下リハビリテーション学分野)
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【緒言・目的】
 口腔がん患者では術後の器質的障害により口腔機能や摂食 下機能が低下する。今回、術後の器質
的障害に加えて感覚低下や意欲低下により経口摂取が難渋した症例を経験したため報告する。
【症例および経過】
 81歳,女性。高血圧症,脂質異常症、不眠症の既往あり。左側舌癌に対して術前化学療法を実施後、2025/3/14に口腔外科による舌亜全摘・左頸部郭清術・左ALT 皮弁再建術・気管切開術施行。術前の嚥下検査(VE・VF)ではとろみなし水分の喉頭侵入およびムセを認め、機械的誤 のリスクありと評価し DSS4 と診断した。術後は準備期~咽頭期障害により付着性の高い食品や凝集性の低い食品の摂取が困難でありDSS3と診断。そのため、段階的に食形態を調整し、術後49日目には全粥・ミキサー食・中間のとろみ水分摂取が可能となり退院した。入院中・退院後も訓練を継続していたが、退院後に右頸部リンパ節転移が判明し、右頸部郭清術および術後放射線療法が施行された。術後療法開始前に重度の口腔粘膜炎が予測されたため胃ろう造設を実施。その後、粘膜炎が重症化し、経口摂取が困難となった。さらに VF ではとろみなし水分での不顕性誤 がみられ、喉頭感覚の低下も認めた。以後、訓練と並行して水分のとろみ調整の必要性や代償法についての指導を継続し、現在は中間のとろみ水分やゼリーによる“お楽しみレベル”での経口摂取を継続している。なお、本報告の発表について患者本人から文書による同意を得ている。
【考察】
 本症例では、術後の器質的障害のみならず、放射線療法による感覚低下や意欲の減退が摂食機能に大きく影響し、継続的な介入にもかかわらず経口摂取への意欲が低下した。胃ろう造設により治療中の栄養確保が可能となり、その後の ADL 維持には寄与したと考えられる。しかし粘膜炎症状改善後,入院下とは違い自宅での訓練の継続や負荷のかけ方などがあいまいとなってしまい訓練効果が出ていなかった。そのため口腔機能や嚥下機能はさらに低下してしまい、経口摂取への意欲低下につながったと考えられる。現在は、定期的な口腔機能や嚥下下機能の評価を行い,訓練の重要性や代償手技の説明を通して本人の理解と納得を促すことで、お楽しみレベルではあるが経口摂取が可能となっている。
(COI 開示:なし) (倫理審査対象外)