講演情報

[認定P-6]下顎薬剤関連顎骨壊死に起因する下顎骨辺縁切除による咀嚼障害と口腔機能の低下に対応した症例

○宮田 春香1、西 恭宏1 (1. 鹿児島大学大学院医歯学総合研究科口腔顎顔面補綴学分野)
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【緒言・目的】
 薬剤関連顎骨壊死術後の咬合支持喪失に対して顎義歯製作を行い咀嚼機能の改善に加えて口腔機能訓練を行うことで口腔機能と体重および筋肉量の改善を認めた1例を経験したので報告する.
【症例および経過】
 83歳,女性.歩行補助機を使用して独歩,娘と同居している.高血圧,下肢静脈血栓症,関節リウマチ,骨粗鬆症を有する。2024年5月,右下顎薬剤関連顎骨壊死に対して32┳12抜歯および654321┳1相当部下顎骨辺縁切除術を施行された.2024年7月に実施した補綴治療開始前の口腔機能検査結果は,口腔水分量(ムーカス):22.5,咬合力(残存歯数)3本,舌口唇運動機能:/pa/:5.4 回/秒, /ta/:4.6 回/秒,/ka/:4.6 回/秒,舌圧:24.6kPa,咀嚼能力:91mg/dlで,咀嚼機能と舌機能の低下が認められた.また外科手術に起因する咀嚼障害と食欲不振による体重の減少があった.関節リウマチによる手指の変形を認めたため自身での清掃・管理ができるよう考慮して義歯の製作を行いつつ,舌機能訓練および食事について指導を行った.義歯装着および舌機能訓練後の口腔機能再評価にてほとんどの項目で改善を認め,体重ならびに筋肉量の増加も認めた.食事は術前と比較すると摂取可能食品アンケートの第Ⅲ,Ⅳ群の食品が摂取可能となっており,本人および娘から食欲が増しているとの発言があった.なお,本報告の発表については患者本人から文書による同意を得ている。
【考察】
 多数歯抜歯を伴う下顎骨辺縁切除術後は補綴装置が装着されるまでの間,咬合支持の喪失による咀嚼障害が生じ,短期間で体重が著しく減少してしまう.今症例では咬合支持の回復のために義歯製作を行い,咀嚼機能を改善させることで,食欲が回復し体重や筋力の向上につながったと考える.また義歯を製作する上で,関節リウマチによる手指の変形が認められたため患者自身で義歯の着脱ができるように凹形態を付与する工夫を加えることで患者自身による義歯の管理が可能となったと考える.一方,咬合支持の回復を行っても改善の可能性が低いと考えた舌機能に対しては訓練を行うことで舌圧および舌運動機能の項目でも向上を認めた. 今後は定期的に口腔機能訓練や再評価を行うことで患者のモチベーションと顎口腔機能の維持を目標に管理していく必要があると考える.(COI開示:なし)(倫理審査対象外)