講演情報

[認定P-8]訪問診療での義歯新製と患者家族を中心とした嚥下訓練により経口摂取を再開した症例

○高橋 陽助1、村田 比呂司1 (1. 長崎大学病院 義歯補綴治療室)
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【緒言・目的】入院中に経口摂取が中止されていた場合、退院後に経口摂取の再開を検討できる機会は少ない。また多職種の介入および連携が必要となるが、新しく連携体制を構築することが難しい場合もある。本症例ではお楽しみ程度の経口摂取の開始を目的とし、患者家族を中心とした多職種連携および嚥下訓練のフィードバックにより、良好な経過をたどることができたので報告する。
【症例および経過】94歳、女性。患者家族より経口摂取を再開したいとの希望があった。2020年4月に心原性脳梗塞を発症した。2022年5月に窒息により救急搬送され、2023年4月にCVポートを留置した。以降、絶食管理となっていた。心原性脳梗塞(2020年)、腹部ヘルニア(2021年)の既往あり。要介護度は5であった。2023年8月に訪問診療を開始した。初診時の意識レベルはJCS3。身長150㎝、体重45kg、BMI 20であった。上顎は無歯顎、下顎は 65┐┌567欠損であった。また、上下義歯の不適合を認めた。初診時の嚥下内視鏡検査では兵頭スコア2/1/1/2であり、検査結果よりDSS 4と診断した。患者家族に中間のトロミ付き水分およびプリンを用いた直接訓練、顎引き嚥下、交互嚥下を指導した。訓練内容は患者家族を通して訪問ST、ケアマネ、訪問Nsと共有された。訪問ST介入時または当科での嚥下内視鏡検査時に家族の直接訓練を実施し、訓練開始から1ヶ月後に食形態を刻み食まで上げることができた。2024年1月には上下義歯を新製し、ハンバーグやカニなど、摂取できる食品の種類を増やすことができた。
【考 察】本症例では訪問診療による歯科介入により、お楽しみ程度の経口摂取を開始することができた。また直接訓練および上下義歯の新製により、食形態を刻み食まで上げることができた。兵頭スコアは2/1/1/2/から0/1/1/1/、DSSは4から5となり嚥下機能の向上を認めた。また患者本人の好物であったカニや焼き魚を食べることができ、QOLの向上にもつながったと考える。訓練効果を専門職種へ適切にフィードバックする事で、専門的背景を持たない患者家族であっても十分な嚥下訓練を実施することができた。患者の意識レベルはJCS2~10と、ムラが見られることもあるため、今後は機能に合わせて介入頻度や食形態の調整を行う。 (COI開示:なし,倫理審査対象外)