講演情報

[認定P-13]神経内科との連携のもとアリピプラゾールを使用し良好な経過が得られた,アルツハイマー型認知症が併発した舌痛症患者の1例

○梅﨑 陽二朗1、内藤 徹1 (1. 福岡歯科大学総合歯科学講座高齢者学分野)
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【緒言・目的】
日本の高齢化率は急速に上昇しており、超高齢社会に突入している。歯科心身症患者の高齢化も多く報告されている。高齢化に伴い、認知症患者も増加しており、口腔異常感症や舌痛症がレビー小体型認知症に先行して発症することも報告されている。歯科心身症の臨床でも定期的な認知機能の把握が重要であることは指摘されているが、認知機能が低下した舌痛症患者への治療については確立されていないのが現状である。今回、舌痛症とアルツハイマー型認知症が併発した症例に対して、神経内科医との連携のもとで薬物療法を行い、良好な経過が得られたため報告する。

【症例および経過】
70 歳,女性。原発性単純性肝硬変の既往あり。舌の疼痛を訴えて2020年12月に夫同伴で当科外来初診。舌に愁訴に相応するような器質的異常所見は認めず、日内変動性や部位移動性等の特徴もあったため、舌痛症と診断した。疼痛の強さを示すVASは100であった。物忘れし易いとの訴えもあり、同伴の夫が質問に答える場面も目立った。慎重な相談のうえ、神経内科を紹介したところ、アルツハイマー型認知症の診断となり、ドネペジルが処方された。舌痛症に対しては、神経内科医との連携のもと、少量のアリピプラゾールの処方を開始した。処方直後から疼痛の改善が得られ、初診から半年後にはVASは11に低下した。認知機能の更なる低下や薬物による副作用は認めず、その後も良好な経過が得られている。なお,本報告の発表について患者本人から文書による同意を得ている。

【考察】
本症例では、神経内科との適切な連携が取れ、舌痛症について良好な経過が得られたが、認知症が疑われる患者に対する専門医療機関への紹介については、慎重な対応が必要である。神経内科においても、認知症の告知はおろか、認知機能検査の適用にも慎重な姿勢が取られていることに留意するべきと思われる。認知症患者に対して薬物療法を行う場合は、認知機能の低下や副作用、相互作用に注意する必要がある。BPSDに対するガイドラインでは、アリピプラゾールなどの抗精神病薬は適応外使用ではあるものの、使用の検討が推奨されている。ドネペジルとの相互作用についても注意し、慎重な経過観察が必要と思われた。

(COI開示:なし)
(倫理審査対象外)