講演情報

[認定P-18]右側頬部の外歯瘻を機に歯科受診に至り口腔健康管理に繋がった1例

○高濱 達生1,2、森崎 重規2 (1. 医療法人 翔優会 大分駅北クリニック、2. 医療法人 鶴岡クリニック)
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【緒言・目的】
 在宅高齢者を取り巻く環境,身体的な問題や社会の関わりなど様々な状況が患者ごとに異なり,口腔内の諸症状への気づきが遅ければ,歯科受診の機会を逸し齲蝕や歯周病など感染の拡大に繋がり,食生活や健康維持へ影響を及ぼしていることが懸念される。今回,歯科での受診が途絶え,頬部の外歯瘻を形成した要介護高齢者が,当院での一連の歯科治療をきっかけに,口腔環境の回復と機能的な改善に繋がった症例を経験したので報告する。
【症例および経過】
 患者は,2025年10月下旬に上顎右側皮膚腫瘤を主訴に当院に受診した。以前より口腔内に軽度の違和感や義歯不適合があったが放置し,歯科には4年間受診していなかった。初診時,右側頬部のびまん性浮腫とともに右側鼻翼の上部に発赤と微出血を伴う大豆大の腫瘤が認められた。X線検査により上顎右側犬歯に根尖病変を疑う骨透過像を認めた。血液検査では,WBCは3740/μL,CRPは0.05mg/dL以下で強い炎症所見はみられなかった。犬歯の根尖性歯周炎に伴う外歯瘻と診断し,原因歯の抜歯と外歯瘻の切除を計画した。既往に高血圧症,心室性期外収縮あり担当医と診療情報提供書にて情報共有し,現時点で病態が安定していることを確認した。手術ではバイタルサインをモニタリングし,局麻下に犬歯を抜歯,外歯瘻とともに肉芽を掻爬,切除して創を縫合した。その後の治癒経過は良好であったため,上顎義歯の作製を進め,経口摂取の維持を目的に歯科治療と口腔健康管理を継続した。また,今回歯科受診に至った経緯から定期的な歯科受診の必要性を本人と家族へ理解頂き,継続管理中である。なお,本報告の発表について患者本人から文書による同意を得ている。
【考察】
 患者は,義歯の不適合を自覚しながらも口腔症状を放置し,歯科受診のきっかけを失っていた。そのため,齲蝕の進行を放置する結果となり外歯瘻の形成に至った。私たち歯科医療従事者が,口腔健康管理の必要性を医療介護の現場へ周知していく必要があると考える。今回,本症例における一連の歯科治療を通し,要介護高齢者において医科との情報共有の重要性,家族などの介護者の協力を含めた口腔管理の必要性を経験し,医療介護現場での歯科の役割の重要性について考察することができた。
(COI開示:なし)
(倫理審査対象外)