講演情報

[認定P-19]下咽頭癌術後に片側咽喉頭感覚の低下を伴う器質的な咽頭期障害患者に対し,摂食嚥下リハビリテーションが有効であった症例

○空閑 阿礼1、伊藤 加代子1 (1. 新潟大学医歯学総合病院口腔リハビリテーション科)
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【緒言・目的】
 下咽頭癌術後症例では下咽頭,喉頭領域の器質的障害により嚥下運動・感覚が直接障害される。加えて,加齢による咽喉頭感覚低下が報告されており,高齢患者では不顕性誤嚥リスクは高いと予想される。今回,右側下咽頭癌術後の咽頭期障害に対し,摂食嚥下リハビリテーションを行い経口摂取に至った症例を経験したので報告する。
【症例および経過】
 患者は,72歳,女性。化学療法実施後,右頸部郭清・下咽頭部分切除・下腿遊離皮弁再建・気管切開,右上喉頭神経内枝合併切除された。術後6日に摂食嚥下リハビリテーション目的に当科初診。初回嚥下機能評価で唾液誤嚥を認め,主治医と相談し,口腔衛生管理と唾液嚥下訓練を開始。術後13日にVEを施行し,右梨状窩の構造変化と安静時の咽頭に唾液貯留を認めた。食物摂取時は右梨状窩に残留後に不顕性誤嚥をきたし,喀出困難であった。以上より,右側咽喉頭感覚障害を伴う器質的咽頭期障害と診断し,咳嗽力強化訓練を追加した。術後14日にスピーチカニューレへ移行,翌日VEを再施行。スライスゼリーなどのまとまりやすい物であれば丸呑み嚥下で摂取可能,まとまり難い物は創部に一部が残留し誤嚥した。これより,スライスゼリーで直接訓練を開始。術後20日に気管カニューレ,翌日に胃管が抜去され,VE施行。右回旋位嚥下であればまとまり難い物も摂取可能となり,以降,ミキサー食の直接訓練を開始した。術後23日に誤嚥性肺炎を疑い一時禁食となった。右回旋位の遂行不良が原因と考えられ,維持強化策に視覚的効果を導入した。以降は発熱なく経過,術後38日に経口摂取のみ,術後44日に軟々菜食へ食上げとなった。
 なお,本報告の発表について患者本人から文章による同意を得ている。
【考察】
 早期から開始した間接訓練が感覚・運動の改善と気道クリアランスの向上をもたらし,右回旋位嚥下は食塊の患側への残留防止と健側の通過改善に寄与したと示唆される。術後の誤嚥性肺炎疑いに対して行った視覚的効果は,患者や介助者の理解を向上させ継続保持を可能にした。これは多職種間における協力を得る上でも有効な手段であった。
 (COI開示:なし)
 (倫理審査対象外)