講演情報

[認定P-20]若年性アルツハイマー型認知症により摂食嚥下障害を発症して胃瘻となった患者に対し,歯科の介入で経口摂取を行っている一例

○白石 裕介1,2、藤井 航1,3 (1. 九州歯科大学附属病院口腔リハビリテーションセンター、2. 医療法人はしもと歯科クリニック、3. 九州歯科大学摂食嚥下リハビリテーション学分野)
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【緒言】
 摂食嚥下障害を発症し,胃瘻造設後から喀痰が増え,頻回な吸引が必要となったため施設入居となった。退院時,担当医からは経口摂取不可との指示であったが,患者家族からQOL向上のため経口摂取を強く要望され,主治医との情報共有や理学療法士・言語聴覚士とのリハビリテーションにおける協働を行う中で,「お楽しみ」程度ではあるが,経口摂取を再獲得できた症例である。
【症例および経過】
 初診日X: 口腔内診査 (#17-#13#11,# 21-# 27,#37- #31,#41#43-#47),歯周基本検査施。PPDは全顎的に3〜4㎜程度,上下右側大臼歯部は6〜8㎜であった。口唇および口腔内の乾燥が著明 ,多量の剥離上皮膜や乾燥痰が付着しており,可及的に除去。X+1日:嚥下スクリーニングテスト実施。濃いトロミ・中間トロミを用いてMWSTを行い共に4点。フードテストはムセと湿性嗄声があり3点。その後週に1回のペースで口腔衛生管理と間接訓練を実 施 。主治医と内視鏡下嚥下機能検査(以下VE ) 施行に関して相談を行った。X+28日:大学病院へ依頼しVE実施。お楽しみ程度にプリン・ゼリーの経口摂取は可能と判断された。現在:週2回,口腔衛生管理と訓練を実施。間接訓練では口腔周囲筋のストレッチ・唾液腺マッサージ・メンデルゾーン手技を行い,直接訓練ではエンゲリードを使用。努力嚥下的ではあるが,10口,3分程度で完食している。但し,タッピングが強く,頻回に激しくむせることもあり,摂食困難な時がある。また,必要に応じて適宜喀痰吸引を行っている。なお,PT・STも直接訓練などで介入し「 歯科・ST連絡ノート」を作成。患者の状態や訓練内容等,情報共有を行っている。
(COI開示:なし,倫理審査対象外)
【考察】
 患者の全身状態から本人の感情を伺い知ることは困難。時折,微笑を見せることもあるが,この訓練が「お楽しみ」としての役割を果たしているのかと自問している。一方で医科歯科連携・病診連携・(家族を含む)多職種連携を行うことで訓練が充実し,食べる頻度が増えたことで家族の満足度は高く,感謝されることも多い。今後は訓練を進める中で,エンゲリードだけではなく他の食材もチャレンジしていきたい。