講演情報
[認定P-21]新型コロナウイルス感染症罹患後に重度嚥下障害を呈したアルツハイマー型認知症患者に対する摂食嚥下リハビリテーションの症例
○遠藤 眞央1、阪口 英夫1,2 (1. 永寿会恩方病院歯科、2. 永寿会陵北病院歯科)
【緒言・目的】
アルツハイマー型認知症(AD)患者では,疾患進行,理解力や協力度の低下により摂食嚥下リハビリテーションが実施困難となりうる。今回、COVID-19罹患後に重度嚥下障害を呈したAD患者に対し,慢性期病棟で歯科医師主導の摂食嚥下リハビリテーションを行い,一時的に経口摂取の再獲得が可能であったため報告する。
【症例および経過】
69歳,男性。68歳時にADと診断され当院入院となった。併存疾患として慢性腎不全を有していた。入院時HDS-Rは12点,BMIは26.4,Food intake LEVEL Scale(FILS)は8であった。入院中にCOVID-19を発症し高次医療機関へ転院治療後に当院へ再入院となった。嚥下機能評価目的に当科紹介となり,2023年10月に嚥下内視鏡検査(VE)を実施した。嚥下反射惹起不良および喀痰貯留を認め,兵頭スコア11点,FILS2の重度嚥下障害,経口摂取困難と判断した。家族との協議の結果,胃瘻造設が行われ経管栄養が開始された。 嚥下反射の改善を認めたため2024年3月にVE再評価を実施し,FILS4,兵頭スコア8点と改善傾向を認めた。歯科医師主導で直接訓練および間接訓練を開始し,段階的な食上げを実施した。最終的にFILS6,兵頭スコア6点となり,ペースト食(嚥下調整食分類コード2相当)を1日3食経口摂取可能となり退院となった(BMI18.1)。退院後3か月で肺炎再発および嚥下機能低下(FILS3,兵頭スコア9点)を契機に再入院となった。現在はコード1相当の食形態にて,楽しみとしての経口摂取を継続している。なお,本報告の発表について患者本人の代諾者より文書による同意を得ている。
【考察】
本症例では,慢性期病棟というリハビリテーション専門職が十分に配置されていない環境においても,歯科医師がVE評価および訓練を主体的に行うことで,一時的ではあるが経口摂取の再獲得が可能であった。COVID-19感染が嚥下障害の重篤化に関与した可能性が考えられた。比較的若年の認知症という背景を踏まえ,本人および家族の価値観を尊重した介入がQOLの維持に寄与したと考えられる。一方で嚥下機能改善は必ずしも長期的に維持されるものではなく,疾患背景や全身状態を踏まえた現実的な目標設定の重要性が示唆された。(COI開示:なし)(倫理審査対象外)
アルツハイマー型認知症(AD)患者では,疾患進行,理解力や協力度の低下により摂食嚥下リハビリテーションが実施困難となりうる。今回、COVID-19罹患後に重度嚥下障害を呈したAD患者に対し,慢性期病棟で歯科医師主導の摂食嚥下リハビリテーションを行い,一時的に経口摂取の再獲得が可能であったため報告する。
【症例および経過】
69歳,男性。68歳時にADと診断され当院入院となった。併存疾患として慢性腎不全を有していた。入院時HDS-Rは12点,BMIは26.4,Food intake LEVEL Scale(FILS)は8であった。入院中にCOVID-19を発症し高次医療機関へ転院治療後に当院へ再入院となった。嚥下機能評価目的に当科紹介となり,2023年10月に嚥下内視鏡検査(VE)を実施した。嚥下反射惹起不良および喀痰貯留を認め,兵頭スコア11点,FILS2の重度嚥下障害,経口摂取困難と判断した。家族との協議の結果,胃瘻造設が行われ経管栄養が開始された。 嚥下反射の改善を認めたため2024年3月にVE再評価を実施し,FILS4,兵頭スコア8点と改善傾向を認めた。歯科医師主導で直接訓練および間接訓練を開始し,段階的な食上げを実施した。最終的にFILS6,兵頭スコア6点となり,ペースト食(嚥下調整食分類コード2相当)を1日3食経口摂取可能となり退院となった(BMI18.1)。退院後3か月で肺炎再発および嚥下機能低下(FILS3,兵頭スコア9点)を契機に再入院となった。現在はコード1相当の食形態にて,楽しみとしての経口摂取を継続している。なお,本報告の発表について患者本人の代諾者より文書による同意を得ている。
【考察】
本症例では,慢性期病棟というリハビリテーション専門職が十分に配置されていない環境においても,歯科医師がVE評価および訓練を主体的に行うことで,一時的ではあるが経口摂取の再獲得が可能であった。COVID-19感染が嚥下障害の重篤化に関与した可能性が考えられた。比較的若年の認知症という背景を踏まえ,本人および家族の価値観を尊重した介入がQOLの維持に寄与したと考えられる。一方で嚥下機能改善は必ずしも長期的に維持されるものではなく,疾患背景や全身状態を踏まえた現実的な目標設定の重要性が示唆された。(COI開示:なし)(倫理審査対象外)
