講演情報

[認定P-23]パーキンソン病患者に発生した舌癌術後の嚥下機能障害に対し嚥下訓練を行った症例

○山田 順子1、髙橋 一也2 (1. 京丹後市立久美浜病院、2. 大阪歯科大学高齢者歯科学講座)
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【緒言・目的】パーキンソン病は高齢者に多く発生する神経変性疾患で,嚥下機能障害はQOLを阻害する重要な因子となる。一方,舌癌は手術後に準備期から咽頭期にかけて著しい嚥下機能障害をきたす場合が多い。今回,パーキンソン病患者に発生した舌癌術後の嚥下機能障害に対し嚥下訓練を行った症例を経験したので報告する。【症例および経過】70歳,女性。パーキンソン病(Hoehn-Yahr重症度分類5度),乳癌,両側習慣性顎関節脱臼の既往あり。現病歴は2022年7月に右舌縁部疼痛の精査希望で当科受診。右舌癌cT3N0M0の診断で8月に舌半側切除および右頸部郭清術を施行した。手術直後より唾液嚥下も困難な状態で,術後は中心静脈栄養とした。術後18日目の舌圧は2.3kPa,嚥下内視鏡(VE)検査は兵頭スコア7点(1-3-2-1)であった。口腔周囲筋のストレッチおよび頸部可動域訓練による間接訓練と嚥下訓練食品0jでの直接訓練を開始した。術後27日目,舌運動の制限が著しいためPAPを導入した。術後32日目の評価では舌圧4.4kPa,兵頭スコア5点(1-1-2-1)と改善を認めた。術後60日目,舌圧1.1kPa,兵頭スコア7点(2-1-2-2)となった。時折パーキンソン病のコントロールが不良となり,治療薬の投与の調整を行いコントロールに努めた。術後158日目,舌圧1.7kPaと低値を認めるも兵頭スコア6点(1-1-2-2)であった。術後185日目,PAP装着なく経口摂取が可能となったため,PAP装着を解除するとともに食形態を嚥下調整食2とした。舌癌の術後再発なく,経口摂取も安定しており退院とした。 なお,本報告の発表について患者家族から文書による同意を得ている。【考察】舌癌手術後は舌切除や頸部郭清の影響で可動域制限が生じ嚥下機能低下をきたすため,術後早期の嚥下訓練開始が望まれる。本例では術前よりパーキンソン病に関連した嚥下機能障害を認め,舌癌の術後管理がきわめて困難であった。特に準備期・口腔期の障害に対しPAPを導入したことは経口摂取再開にあたり有効であったと考える。パーキンソン病の状態も極めて重要で,治療薬の投与経路について術前より検討の重要性を再認識できた症例であった。(COI開示:なし)(倫理審査対象外)